横須賀の地域課題にチャレンジこの地域に必要な施策とは
森田洋郎/神奈川労災職業病センター理事
横須賀中央診療所の春田所長がこの度、神奈川労災職業病センターの理事長に就任され、私も理事の一人として期待を大きくするところです。春田先生とはかれこれ30年のお付き合いで、同じ横須賀で活動している者として、時には一緒に横須賀の保健医療福祉の取り組みをさせて頂いています。特に、地域福祉の活動団体として「福祉のまちづくりを進める市民集会」実行委員会の代表として春田先生には長年活動を引っ張って頂いています。私も事務局の一人として活動に参加し、今年も市民集会を開催しますが、今年で30回を数えます。7月18日午後1時30分から「ヴェルクよこすか」6階で開催しますので、ぜひ労職センター会員の皆様にもお越し頂ければと思います。テーマは「よこすか障害者計画」です。
横須賀の人口減少問題
さて、横須賀の地域課題の話しを少しさせていただきます。横須賀市は首都圏では人口減少が著しい地域として有名になっています。過去は政令市という位置づけで、横浜市、川崎市、に並ぶ都市人口の位置づけであったところ、相模原市が合併もありましたが政令指定都市となり、藤沢市にも人口が抜かれるなど、都市として健全な発展が出来ていません。 ご案内のように日産自動車追浜工場の規模縮小が余儀なくされ、過去には関東自動車の裾野市への移転、NTT支所の撤退、東京電力火力発電の縮小等、働く場所が縮小してきていることは明らかです。市内労働組合の規模で言うと、全駐労(全駐留軍労働組合横須賀支部、米軍基地で働く米軍人ではない方の労組)が一番大所帯の組合となっています。会社の数が減り人口減とともに、自治労や教組等の公共サービス労組も、当然に構成人数が減少していきます。
都市の発展が停滞しているため、経済が縮小している状況は、例えば海老名市のように一昔前とは全く異なる街並みに変化している都市と比較して、閉塞感のようなものが漂っていると思わざるを得ません。このことから横須賀から横浜に引っ越すような、働く世代の転出ということにも繋がり、ますます人口減少が進行し、同時に超高齢社会の課題が益々増加するということにつながります。
超高齢地域に必要なものは
都市戦略としてどうやって人口減少を食い止めるか、という課題はあるにしろ、当面はこの超高齢地域にとっての課題にどう立ち向かうかということを考えなければならないと思います。私は特に必要な対策は保健医療福祉分野であると思います。
横須賀中央診療所はいち早く訪問診療を始められ、高齢者医療を担われています。地域の中で高齢者が医療難民にならないように、必要な医療に適切にアクセス出来るようにする取り組みが、安心して横須賀に住み続けられる基盤になります。
次に福祉の取り組みは、横須賀市役所が施策として力を入れた取り組みを展開しています。身寄りのない高齢者の最期を支える「エンデイングプラン・サポート事業」、全ての市民を対象とする「わたしの終活登録」などは先進的な取り組みとなっています。これらの事業は市民が亡くなるときを想定した事業で、行政の仕事としては生きている市民を対象とするものが多い中、福祉事業として市民が亡くなったときの準備を行政がお手伝いをするというもので、高齢地域ならではの取り組みだと思います。
私が横須賀で取り組む法人後見活動
私は「福祉のまちづくりを進める市民集会」実行委員会の活動の中で、横須賀の障害当事者の運動や、障害者サービスを展開する社会福祉法人の役員の方たちと交流を持ってきました。みなさんが口を揃えて仰っていたのは、障害者の法人後見制度が横須賀には無い、という事でした。成年後見制度は、障害者の人生を考えるとき、親亡き後一人残された障害当事者の生活を支え伴走するという制度です。障害者の親が亡くなる時は大体50歳台くらいで、そこからその方が亡くなるまでは30年以上のお付き合いになります。そうすると一人の成年後見人ですと、途中で成年後見人が先に亡くなってしまう、という現象が起きてしまいます。横須賀では成年後見人の成り手も不足しているのです。
そこで、私は妻とともにNPO法人を立上げ、法人後見事業をスタートさせました。皆さんが求めているのは、マンツーマンではない法人内の複数スタッフが支援をする仕組みで、長いお付き合いには効果を発揮します。そして、マンツーマンではどうしても後見人個人の価値観を押し付けてしまう傾向があり、その点法人後見は複数スタッフがその人にとってどのような支援が必要なのか、本人を含めて話し合いながら決定する仕組みですので、本人の納得の度合いも高まるのではないかと考えています。そこにある共通のテーマは障害者権利条約のスローガン「“Nothing About Us Without. Us”(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)」という考え方です。
春田理事長は常に「高齢になっても、障害があっても、住み続けられるまち、横須賀にしよう」と言われていて、この30年で横須賀の経済等は決して良くなったとは言えないかも知れませんが、長年地域での取り組みを続けている横須賀中央診療所や私たちが、もっと知恵と工夫を凝らしていくべきですし、まだまだやれることはあると考えています。「横須賀の保健医療福祉の充実を求めて」という、福祉のまちづくりを進める市民集会のスローガンも30年変わっていません。ともに頑張り合いましょう!
