国鉄・JR石綿肺がん労災不支給処分取消訴訟
国鉄・JR石綿肺がん労災不支給処分取消訴訟
認定基準の改善を求めて
4月14日、横浜地裁502号法廷にて、旧国鉄・JR労災不支給処分取消訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。この裁判は、Tさんが肺がんで死亡後、解剖所見により石綿小体が1065本出たことから川崎南労働基準監督署に労災申請したが、本数が認定基準に満たないという理由で不支給となり、行政訴訟に踏み切ったものである。
Tさんは、旧国鉄大井工場でレジン制輪子を削る作業に8年10ヶ月携わる中で白石綿に曝露し、その後、川崎発電所(旧国鉄・及びJRに供給するための火力発電所)でボイラー運転員として働いた3年6ヶ月間に建屋内に積もっていた石綿粉じんに曝露していた。
労災認定基準の改善を求める取り組みとしては、「患者と家族の会」のK副会長の裁判から始まり、勝利し続けている。今回、神奈川でも、じん肺基金の全面的協力のもと国労と共闘で取り組むこととなった。
JRの現職で国鉄労働組合の組合員でもあったTさんは、闘病中よりセンターに相談されていたが、プラークなどの画像所見が確認されなかったため、労災申請は死後に解剖してからという話をせざるを得なかった。Tさんはそのことを覚悟した上で、古川弁護士による職歴の聞き取りや同僚の聞き取りなどの準備を進めた。そして、「自分が死んだら解剖して、アスベストが出たら、後に続く人たちのために労災申請をし、認定を取れるまで頑張ってほしい。オレが突破口になるよ」と、家族や仲間や弁護士に言い残し、12年12月14日にお亡くなりになった。54歳という若さであった。
第1回口頭弁論では、原告である妻のTさんが意見陳述を行い、今後の裁判の流れを確認して終了。
その後、横浜弁護士会館で報告会が開かれ、じん肺基金を代表して安元さんが司会進行を務めた。支援する国労神奈川地区本部の執行部及び組合員、退職者組合、そして大井工場支部、大井工場OB、国労東京地方本部や東日本本部の執行委員、横須賀じん肺被災者・アスベスト被災者の会運営委員及び特別会員など、約50名が参加した。
古川弁護士は、K副会長の裁判以降に認定基準が改悪され、石綿小体5千本未満のすべての石綿肺がん案件が本省協議において決定されていることを解説し、「この裁判は和解はあり得ない。必ず勝利判決を勝ち取る」と結んだ。
続いて原告のTさんは、国労をはじめとするたくさんの仲間への感謝を述べ、今日は月命日、夫も絶対勝ってくれと言っているので頑張っていきたいと、力強く挨拶した。長男の歩さんからも、母を支えて頑張っていく決意が語られた。次回口頭弁論は7月7日。【池田】