Mさんの解離性運動障碍は公務災害だ!東京高裁が不当判決、Mさんは最高裁に上告

 神奈川県立の特別支援学校の教員をしていたMさん(女性)は、生徒に暴行を受けたことが原因で、左腕の「咬傷後上肢麻痺」になりました。当初は病名がはっきりしませんでしたが、「解離性運動障碍」という精神疾患であることもわかりました。退職勧奨されましたが、労働組合に加入し、雇用は継続となりました。

 一方、地方公務員災害補償基金神奈川県支部は、不当にも公務外決定。支部審査会、基金本部審査会の再審査請求も棄却されたので、Mさんは20年4月、公務災害認定を求める訴訟を提起しました。医学的な立証に加え、同僚らの協力も得て事故当時の様子も詳しく主張しました。基金側は事故当時やその後の事実関係についても十分に調査していないことが明らかになりました。ところが横浜地裁は23年11月、公務外とする不当判決を言い渡しました。暴行は長くても2、3分程度で精神疾患を発症する程ではないというのが主な理由です。東京高裁も一審判決をそのまま容認し、24年6月20日に控訴を棄却。

 実は、23年9月の労災認定基準改正で、いわゆるカスタマーハラスメントが明確に精神疾患を発症する具体的な「出来事」として明記されました。先日発表された23年度の精神疾患の認定件数をみると、全国で52名が「顧客や取引先、施設利用者から著しい迷惑行為を受けた」(カスタマーハラスメント)という理由で労災認定されています。うち45名が女性であることも注目すべきでしょう。ところが、東京高裁は、こうした民間労働者の認定基準を持ち出すこと自体が「失当である」としています。

 Mさんは、自分が公務災害と認定されることで、職場の労働条件が少しでも良くなればという気持ちで闘っています。7月2日、最高裁判所に上告しました。