港湾労働者のNさん腰痛で労災認定
川崎南労基署は、 四月二八日付で港湾労働者Nさん(七三歳)の腰痛症(変形性脊椎症を伴う)を業務上と認定した。申請したのは昨年一二月。平均賃金算定にあたり、本人が主張した港湾荷役ではなく、一般日雇と判断された。七〇歳をこえての申請、認定は異例である。【小野】
Nさんは一九三六(昭一一)年、福島県生まれ。一九六五(昭四〇)年頃横浜に来て、主にK輸送で、常用や日雇として働いた。最終事業場はY作業の日雇いとして、昨年 五月まで就労した。港湾荷役作業には、常用として約一〇年、日雇い(顔付けとして特定の会社から継続して雇われていた)として約三〇年、合わせて約四〇年間。一貫して倉庫会社の荷役作業で、主に手かぎを使い、中腰姿勢で麻袋物など重量物を取り扱った。そのため腰などに負担や衝撃を受け続けた。主な作業内容は、上肩、河岸肩、コンテナ下ろしなど。山肩は、倉庫内で四~五人で行い、一日約二五〇~四五〇㌧を取り扱った。品物はタイ米、ホーマイ( 一〇〇㌔)、小麦(九三㌔)、胡麻、玄そば、大麦、大豆、菜種(八〇㌔)、国産米(六〇㌔)などで、肩に担いで走って、はい付けをした。
約二〇年前からはコンテナ作業が多くなり、フォークリフトで運ぶ前のパレット取りが主になり、米、大豆などが半分の重量になり、麻袋から紙袋に代わり、手カギが使えなくなり、数量が倍増。その結果、長時間作業をすることになった。
Nさんは、二〇年程前から仕事の後、腰が痛むようになり、二ヶ月程通院したが、医師から「骨が変形している。治らない。無理をしないように」と言われ、その後通院せず市販薬でしのいだ。痛みが強いときはサラシをまき、生活のためだましだまし働いた。「昔は重量物が多かったので膝を曲げて腰を下げて品物を持ち上げていました。最近は重量物が少なくなり、二〇㌔前後の品物が多くなり、その分数量が多くなり、長時間、中腰姿勢で、膝や腰を下げずに品物を持つようになりました。そのため腰に負担がかかったと思います」。
そのうちに思うように力が入らなくなり、港町診療所を受診。腰のけん引と投薬を受け、治療に専念している。会社からは、良くなったら又働いてくれと言われている。「年齢のこともあり、半ばあきらめていましたが、まじめに働いてきたことが認められ、うれしいです」と、Nさんは話している。