車両運行管理請負会社セーフティのDさん過労死損害賠償裁判

証人尋問で、会社の責任が一層明らかに

 11月10日、会社側の証人尋問と原告であるご遺族らの尋問が行われた。過労死裁判ではしばしば会社側は、被災者の仕事に過重性はない、いかに会社が対策を講じてきたのかを主張、立証する。セーフティの主張は、Dさんの勤務は、拘束時間全てについて賃金を支払っていたにも関わらず、待機・休憩時間が長く労働時間は短いから仕事とは関係がない、さらに本人は持病を隠し、疲労を訴えなかったから対策を講じなかったというもの。

 証人尋問では、セーフティの担当者が実際には、Dさんが日常的にどのような働き方、休憩の仕方をしていたのかをきちんと把握していないことが、むしろ明らかになった。例えば、担当者は、Dさんの勤務予定を記したスケジュール表と、結果を記した運転管理報告書を、時々照合していたとのことだったが、裁判で、会社は、大きな変更はなかったと主張している。実は予定がしばしば変更されていることが給与管理表=賃金明細からも一目瞭然なのであるが、担当者はそれは確認していなかったとのことであった。

 派遣先の会社役員の都合で長時間不規則勤務にならざるを得ない以上、どうすればDさんの勤務を軽減できたかも一つの争点である。尋問の中で、セーフティは本社に20人ぐらい代務者を待機させていることが明らかになった。そうであれば、Dさんが長時間勤務になった際に、代務者に応援に行かせることも可能だったはずだ。

 裁判は22年2月9日に結審し、年度内に判決の可能性も高い。今後も、多くの皆さんの注目を!