旧国鉄・JRアスベスト裁判:被告は、求釈明に回答せず。Kさん死亡原因はコロナ、 肺がん原因は喫煙、 労災認定は誤りと主張

旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判を支援する会 事務局長 小池敏哉
 この裁判は、Kさん(21年1月逝去)が、石綿ばく露により肺がんを発症したとして、20年7月に旧国鉄とJR東日本を相手に損害賠償を求めて提訴したものです。
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 11月30日の口頭弁論は、支援者ら21名が傍聴するなか行われました。
 裁判長から、被告が提出した準備書面(6)と乙号証について確認が行われ、原告代理人に対し、今後の裁判の進行について意見が求められました。
 原告代理人の福田弁護士は、「準備書面(6)の第3『原告死亡の業務起因性(石綿ばく露との因果関係)について』反論する。その他はこれまでの被告主張と同じと認識している」と答えました。
 さらに、福田弁護士は、原告からの求釈明(大井工場における取扱い車両の吹付石綿、アンダ―シール、その他機器の石綿使用の実態と使用時期を明らかにするよう求めた)に対し、被告が「調査したところ、大井工場での取扱い車両等に特化した資料等は見当たらず」と回答したことを踏まえ、被告代理人に対し、「見当たらないのは大井工場に特化したもので、全体では明らかにできるのか」と質問しました。被告代理人は「全体のものもJRでは見当たらなかった」と答えました。
 裁判長は、「次回は人証日程を相談する」と述べ、次回期日を2月1日(水)10時30分とし、閉廷しました。

 裁判後の報告会で、福田弁護士は、「石綿が車両に使われていることは専門誌でも紹介されている。求釈明で回答がなかったので改めて本当に資料がなかったか確認した」「被告は、201系車両は腐食しにくく外板等に修繕がなかったと主張しているが、事実に反する。裏付け資料もなく、反論できていない」「Kさんの死亡原因はコロナだが、死亡と肺がんは因果関係があり共働原因とする労働局医の見解に対し、肺がんは喫煙の結果生じたのであり、石綿粉じんで発症したのではないとして労働局の労災死亡認定をも否定している」「次回以降は証人調べに入る。原告陳述と元同僚2名の証言を予定し、準備していく。5月頃になるのではないか」と、報告しました。

 傍聴支援に集まった仲間から、「裁判はこちらがリードしている。次回も傍聴席を埋めて支援をしていく」(国労東京地本高瀬執行委員)、「同じ工場職場でもあり他人ごとではない。裁判勝利に向けて協力する」(国労大宮総合車両センター矢部分会長)、「横浜、国府津退職者会の仲間と参加した。国労神奈川地区大会でもアスベスト裁判支援を確認している。引き続き支援していく」(前国労神奈川地区本部井草副委員長)、「東京OB会、久松幹事と参加している。会としても全体の問題と位置付けて取り組みを強める」(JR・国鉄東京OB会藤野会長)、「元全国金属出身、国労大井工場支部とは長い付き合い、共に闘ってきた。次回も傍聴する」(ノーモア水俣土田事務局長)と、激励の挨拶がありました。

 最後に、原告のTさんから、「皆さんの支援に感謝。父の職場環境が劣悪だったと思い知らされた。これから陳述の準備に入るので緊張している」と、お礼の言葉がありました。
 被告は相変わらず、肺がんは喫煙が原因、肺中の石綿小体の本数が認定基準に達していない、死亡はコロナが原因で石綿は影響ないという主張です。世界一の鉄道会社と自称するJR東日本に石綿使用車両の資料がないとは信じられません。本当に調査したのかも疑問です。来春には証人尋問に入ります。皆様の更なる応援をお願いします。