旧国鉄・JRアスベスト裁判:これから山場!5/17証人尋問、年内判決も視野に

旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判を支援する会 事務局長 小池敏哉
 この裁判は、Kさん(21年1月逝去)が、石綿ばく露により肺がんを発症したとして、20年7月に旧国鉄とJR東日本を相手に損害賠償を求めて東京地裁に提訴したものです。

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 2月1日に行われた第12回口頭弁論には23名が傍聴行動に参加しました。
 原告側が、準備書面⑹とKさんの元同僚3名の陳述書等を提出。裁判長が「そろそろ人証調べの日程を入れたい」と発言したのに対し、被告代理人が、「次回は原告準備書面等を検討して反論する。補充の陳述書も検討する。証人は検討したい」と発言。それを受け、裁判長が、次回3月14日に双方が証人申請をし、次々回5月17日に証人尋問すると指定して、閉廷しました。

 閉廷後の報告会で、福田弁護士が「JR以前の職場状況を立証するため元同僚3名の陳述書を提出した。あわせて被告提出陳述書への反論として、K氏の陳述書も補充提出した。PCA(パンタグラフ、クーラー着脱、車体気吹き場)ができてから気吹きはなくなったとする主張に、稼働後も車修場で気吹きが日常的に行われていたこと、マスク着用状況など当時の職場実態を明らかにした。証人尋問の期日も決まり、年内判決も見えてきた」と報告。

 山岡弁護士は、「被告は原告の死亡原因はコロナと喫煙と主張しているが、準備書面⑹で、労災医が石綿肺がんとコロナの共働原因説で労災死亡とし、労基署長もそう決定したこと等で反論した。術後の肺炎など禁煙後に肺機能の回復、リスクが低減することも証拠として提出した」と報告しました。

 続いて、初めて傍聴行動に参加した国労本部元書記のFさんが、「労働委員会や裁判闘争で24年間事件に関わってきた。OBの知らせで裁判を知り参加した。今後も支援したい」と発言。元国労東京闘争団のOさんは、「JR不採用事件で被告代理人だった向井弁護士を目前にして当時の自分に対する尋問を思い出した」と感想を述べ、東京OB会F会長から「昨年末のOB忘年会で原告Tさんと神奈川労災職業病センター池田さんから裁判の報告を受け、引き続いて支援する確認をした」、国労東京地方本部T執行委員は「尋問が近づき東京地本も組織的に応援したいと考えている」と激励がありました。

 原告のTさんは、「沢山の参加にお礼を述べたい。OB会で報告させて頂き、皆さんと交流して生前の父の活動、知らない部分を知る機会となった。引き続きご支援をお願いしたい」と述べられました。

 旧国鉄とJR側は相変わらず具体的立証もせず、「肺がんは喫煙が原因、安全対策は行っていた」と同じ主張を繰り返し、こちらが求めたアスベストを使用していた車両や時期も明らかにしていません。次回は反論と陳述の補充をするとしていますが、新たな証拠も示さず、反論の為の反論であり、時間稼ぎと言わざるを得ません。裁判はこれから大きな山場に入ります。早期の勝利判決めざし、皆様の更なる応援をお願いします。