職場でパワハラ等を受け適応障害 日本郵便(株)に職場復帰

全国一般全国協神奈川

巨大なブラック企業
郵政民営化後、昨年10月に郵便事業会社と郵便局会社が合併して日本郵便株式会社が発足しました。40万人に迫る従業員の半数近くが非正規雇用であり、労務管理の強化と労働強化の中でパワハラが横行し、正社員にはメンタル面での長期休業者が多くなっています。日本郵便は、日本最大の非正規雇用企業であり、日本最大級のブラック企業化しつつあります。

困難な職場復帰
郵政では、メンタル面で休職すると、職場復帰は極めて困難です。たとえ主治医の職場復帰可能の診断が出ても、就業支援委員会による「就業可」決定が出ないと職場復帰はできないのです。この就業支援委員会とは、厚生労働省の指針「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰の手引き」を援用した形式を取りつつも、その内容を正反対に作り変えたものです。その結果、休職期限切れ解雇者が多くなっています。

事業所は除外されて
メンタル面で休職後、職場復帰するには職場の受け入れ態勢の整備が重要ですが、就業支援委員会に事業所〈郵便局〉は一切関与できません。就業支援委員会の構成は非公開ですが、神奈川県と山梨県の郵便局を統括する南関東支社総務部長が委員長、南関東支社人事2名、委員長が任命した産業医と専門医の5人。実際の権限は自称「産業医」の逓信病院のボス。主治医の「職場復帰可能」の診断書が出ても、毎月開催される就業支援委員会に取り上げられるか否かは基準なしで「産業医」の独断。決定は「就業可・不可」以外は非公開です。
休職者は、就業支援委員会から指名されると、初対面の専門医に5分~15分間の面談(診察?)を受けるだけで運命の「判決」を待つことになります。事業所は、その決定の伝達役に過ぎず、「就業不可」理由も知らされません。

支社・郵便局との団体交渉は難航
職場でセクハラ・パワハラを受け、適応障害を発症したAさんは、昨年5月から長期病欠となり、10月より休職しました。本人の頑張りで12月に労災申請し、その後、全国一般神奈川に組合加入しました。郵政の職場内労組は、いずれも団交権を中央に限定し、また、個別人事案件は団交権を放棄した協定があるため労使交渉は不可能なのです。組合は1月から郵便局及び南関東支社と団交を重ねましたが、前述の通り「非公開」なので支社も局も「私達も何も知らない」で、ぬかに釘状態でした。そして本年3月の就業支援委員会では「就業不可」決定が出されました。

「就業可」決定から就労へ
3月の「就業不可」決定後、「産業医」の姿勢が一変。局およびAさんと「産業医」との異例の接触が始まったのです。この変化の要因は、一つは主治医が「産業医」ときちんとした対応したこと。二つ目は、「就業不可」中に労災認定が出る可能性があること。三つめ目に、郵政における組合の5年間の闘いの蓄積から、裁判や労働委員会での闘い=就業支援委員会の実態が社会的規範に曝される事を恐れたものと思われます。つまり、郵政一家の枠を打ち破ったのです。7月の就業委員会で「就業可」決定が出て、8月から8割(時間短縮)勤務となりました。

労災不支給、不服審査請求へ
7月31日、所轄の労基署が、労災補償の不支給を決定しました。「ハラスメントはあったが強レベルではない」という理由でした。Aさんは、労働局に審査請求し、職場改善に向けて団体交渉と連動して闘っていきます。