新型コロナワクチン後遺症患者さんへのインタビュー:ワクチン接種による健康被害で約3年間休職し、ようやく復職を果たした高校教師
新型コロナワクチン接種による健康被害の労災認定数が判明したので、その報告記事を『有志医師の会』(https://v回答ed.jp/)のメールマガジンに投稿したところ相談の連絡を頂きました。高校教師として元気に働いていたが、2021年9月に職域接種でのワクチン接種後に突然の体調不良を起こし、やむなく休職。その後も体調は戻らず、休職期間を延長するも、いよいよ期限を迎えるにあたりどうすればよいかという相談でした。万全の体調ではないので、業務の軽減措置を求めて学校側と交渉し、このたび無事に復職を果たしました。予防接種健康被害救済制度の認定も受けたのですが、その手続きにも大変なご苦労をされたこと、今もなお多くのワクチン後遺症の患者さんが仕事を失ったり、社会生活が困難で苦しんでいることなどお話し頂きました。【鈴木江郎】
自己紹介
回答 初めまして。高校で教師をしております、ワクチン後遺症患者の者です。当時、高校3年生の担任をしておりまして、21年9月にワクチンを1回だけ打たせていただきました。翌日いきなり、朝起きたら全然起き上がれなくて身体も痛いですし、救急車を呼んで入院したのですが、結局、2年位寝たきり状態になっておりました。
質問 その間、お仕事は休職されていたのですか。
回答 接種した翌日からずっと休んでおりました。
質問 それで傷病手当金の申請を?
回答 はい。
予防接種健康被害救済制度について
質問 予防接種健康被害救済制度の申請もされたと聞いていますが。
回答 予防接種健康被害救済制度というものを聞き、申請をさせていただこうと思ったんですけれども、やはり寝たきり状態でしたので、なかなか申請が厳しい状態です。病院も全然診ていただけなかったので。実際、24軒の病院を回りました。本当にたらい回し状態で、その24軒の病院の証明書とカルテを集めないといけないんです。寝たきりの身体で病院まで行けるわけなく、証明してくださる病院も無く、拒否される病院もありました。ワクチンを打った病院は、営業妨害だから出ていけと鍵もかけられました。ひどい暴言を吐くお医者さんもいらっしゃって、本当に悲惨な状況でした。
お友達やヘルパーさんたちに助けていただいて、半年位かかっていろいろな病院のカルテや受診証明書を集めて、ようやく出せるとなっても市役所が受け付けてくれません。出してもすぐに戻されるというやりとりをずっとしておりました。受診証明書を書く場合も1つの病院につき一番安いところで2~3千円、高い所は1万円を超えます。それを24軒分集めて提出したのですが、市役所は1年間放置したまま。市会議員さんを通じて訴えたら、ようやく市役所も審議に入ったという状態でした。結局、提出してから許可が出るまで1年半から2年近くかかりました。
たまたま私は申請が通ったのですが、なかなか皆さん、通らないとおっしゃっています。実際にワクチン後遺症の患者さんが寝たきり状況で申請するのは無理だと思います。私はヘルパーさんやたくさんの友人に助けて頂いたので提出できましたが、皆さんはなかなかできないと思います。本当にハードルが高いので、もっと簡素化しないと誰も申請しません。まして市役所は受け付けないし、皆さんは申請しないままになっているのではと思います。私はその市での提出第1号、認定第1号になっています。非常に苦労しました。
質問 カルテを開示して、それを資料として提出しないといけないので、カルテ開示の手数料が相当かかってしまうということですね。
回答 カルテを開示したくないと言う病院もあります。
質問 やっと申請にたどり着いても、そこから決定までに1年以上の時間がかかってしまうと。
回答 資料もたくさん出しても、市役所は受け付けてくれません。やりとりが何度もあって、ようやく提出しても、市役所に1年間置きっぱなしでした。
質問 そういったことは、ワクチン後遺症患者さん同士のネットワークでアドバイスしあったり、情報交換しながら進めていかれたのでしょうか。
回答 私はとても早いほうだったので、市役所や国、厚労省へ問い合わせていました。そして、私の経験を患者会でも伝えていました。
たいへんな療養生活
質問 そういったご苦労の中、1年以上かけてやっと認められたのですね。その後は徐々に体調も良くなられているのでしょうか。
回答 2年間ほとんど寝たきり状態で、家のお手洗いにも這っていく状態でした。ヘルパーさんに毎日来て頂いて、お風呂や着替えを手助けしてもらいました。私は夫を亡くしていて、母子家庭で子供もいましたが、仕事ができず給料も止まり、生活は非常に困りました。それで子供を連れて実家に戻り、面倒を見てもらいましたが、実家の両親も高齢で、私が回復して起き上がれるようになった代わりに父が亡くなり、母も今は施設に入っています。本当に両親に助けてもらい、まだ100%ではありませんが、少しずつ回復しています。
質問 傷病手当金の支給が1年半で止まり、生活保障のため労災保険の手続きについてこちらに相談を頂きました。
回答 後遺症患者は本当に皆さん、困っておられます。仕事したくても起き上がれない、立てない、家の中も歩けない状況なので仕事など考えられません。明日、自分の身体がどうなっているかもわからない。明日、自分の目が開くのかもわからない。そんな状況が私は2年続きました。本当に明日生きているんだろうかと。後遺症患者の中には自死された方もいらっしゃいます。その気持ちも十分わかります。私は子供がいるので、こんなところで負けてはいけない、死んではいけないと、気力だけで何とかここまで来ました。仕事を失い、精神的に病んでしまった40代や50代の方がすごく多いと思います。何か支援や救済をしないと、まだたくさんの方が苦しんでおられます。本当に社会の理解が無いんです。
私も家族にすら理解してもらえず、「どうしてそんなに寝てばかりいるの? 早く起きなさい」と、すごく言われました。診てくれる病院もありません。お医者さんも「そんな病気は無い、ワクチンを打ってそんな状態になるはずがない、精神病ではないのか、心療内科に行きなさい」と言われました。でも、ワクチンを打つまでは普通に働けて、ワクチンを打った次の日から寝たきりになったのですから、精神科に行っても治らないと思います。医師が認めないので精神的に非常に厳しいです。まして、健康被害救済制度を申請しても対応してもらえず、認定されても、1ヶ月に3万円のお見舞い金を頂けるだけです。医療費も保険分しか返ってきません。病院は保険診療では診てくれません。グルタチオン点滴1本が1万5千円~2万円で全部自費です。病院診療に関しては全て自費です。ですからほとんど医療費は返ってきません。月3万円のお見舞い金だけでは、やっていけないと思います。
軽減勤務での復職を果たす
回答 私は教師という仕事が大好きで、どうしても教師に戻りたくて何が何でも起き上がって行ってやろうと思っていました。退職日は決まってましたが絶対に仕事を失いたくなかったので、市長や市議、弁護士、労基署などいろいろな所に相談しました。たまたま有志医師の会で、神奈川労災職業病センターの鈴木さんを知り、森田さんをはじめ、ひょうご労働安全衛生センターの西山さん、菊池さんと出会うことができました。そしてオンラインで、退職日の6ヶ月位前から打ち合わせさせて頂き、学校と交渉することができました。もし、鈴木さんたちに出会わなかったら、私は復職できていませんでしたし、ここまで元気になれていませんでした。目標があるから、起き上がろうと努力し、気力も湧いてきます。やはり助けはすごく必要だと思います。社会の理解を得られず、精神的に追い詰められて退職する人が非常に多いので、ワクチン後遺症の患者さんに寄り添って相談を聞いていただけたらありがたいです。復職すれば少しずつでも身体は回復していき、経済的にも生活面を支えることができます。
私も相談することでいろんなパターンを教えていただき、本来は退職となるところを、障害者ということで合理的配慮により勤務軽減して頂き、職場復帰を果たしました。皆さんには本当にお世話になりました。1人ではなし得なかった復職です。これを成功例として、希望の光として伝えていきたいと思っています。
質問 ありがとうございます。復職に向け、オンラインで打ち合わせしながら、軽減勤務など体調に合わせる形での職場復帰を求めてきました。学校との粘り強い話し合いの結果、こちらの要望に添った形で復職をされました。本当にお疲れ様でした。
回答 本来であれば退職でした。本当にずっと退職を勧められていて、私1人に対し学校側は6人とかの話し合いで、杖を突きながら交渉するという状態でした。でも、毎日学校に通うことで身体も少しずつ慣れてきて、起き上がれるようになりました。患者にとって復職はすごく大きな薬になると思います。ワクチン後遺症の患者は40代、50代の方がすごく多いんですが、ほとんど退職されています。一番働き盛りの人が退職しているという現実を知ってほしいです。また、どの病院も診てくれません。お医者さんに皆さんどれだけ傷つけられているか。薬も治療法もまだ開発されていないというのが現状です。
質問 仕事の必要性からワクチン接種したのに、それは個人の自由意志だという扱いで労災補償にたどり着けない方が本当に大勢います。今、徐々にワクチン被害への関心が社会的に広がってきていますが、これから労災に関しても、私たちがしっかりやっていくべきところだと常々感じています。こういった復職事例は、皆さんにとって大きな希望になると思います。ぜひ今後も活動をご一緒いただければと思います。
回答 病院の看護師は労災申請されていますが、それ以外の方は労災申請されていません。私は高3の担任をしていて、受験がありますから生徒もワクチンを打っている中、担任が打たないわけにはいかないと嫌々打ち、1回のワクチン接種でこんな状態になりましたが、自分で接種を決めた、学校には責任がないと言われました。働く方は皆さん、ワクチンを打っておられると思うので、これは労災にあたると思います。
今後そういうことを視野に、皆さんも動いて頂けたらありがたいなと思います。これは社会にとっても大きな問題で、薬害にあたると思います。国はそれに蓋をして、私たち患者はいない存在になっています。本当に理解していただきたい。社会の理解が一番大きいと思います。苦しんでいる患者さんのために、ぜひ復職に力を貸していただけたら幸いです。本当にありがとうございました。