センターを支える人々:広谷 渉 弁護士(横浜法律事務所)
横浜法律事務所の広谷 渉と申します。弁護士生活ももうすぐ満3年になります。
私はもともと理科系大学院の出身です。修士課程修了後に同じキャンパス内にあったロースクールの未修コースに入って、そのまま弁護士になりました。理科系から弁護士を目指す人はあまり多くありませんが、私は、「知らない分野のことを学んでみたい」「社会と積極的に関わる仕事をしてみたい」くらいのやや大雑把な理由でこの道を選びました。
実際、今も労働事件を私が弁護士の中でもとくに労働事件を扱う弁護士を目指そうと思ったのは、自分自身の経験よりは映画や小説などのフィクションの影響が大きいように思います。
皆様は『パレードへようこそ』(原題『Pride』)という映画をご存知でしょうか。私はいろんなところでこの映画の話ばかりしているのですが、未見の方に向けて簡単にあらすじを説明します。舞台は80年代サッチャー政権下のイギリス、ロンドンに住む同性愛者の若者がたまたま炭鉱労働者のストライキ弾圧の報道を目にするところから話が始まります。自分たちの次は炭鉱労働者たちがサッチャーの弾圧の標的になっている、そう気づいた彼らは仲間を集めて炭鉱労働者への支援を始めます。そこから都会のセクシャルマイノリティの活動家たちとウェールズの田舎町の炭鉱労働者の間に連帯が生まれていく…という話です。たいへんドラマチックな展開ですが、驚くべきことに実話がもとになっているそうです。
映画の冒頭で、ピート・シーガーの『Solidarity forever (連帯よ、永遠なれ!)』がかかるのですが、「連帯」というものがまさにこの作品の重要なテーマとなっています。私がこの映画を初めて観たのは大学生の頃なので、その時は自分が弁護士になるなどという考えはまったくありませんでしたが、手を取り合って闘う登場人物たちの姿に心を動かされました。
昨年、所属している弁護士団体で私が主導してこの映画の上映会を企画・開催しました。私も数年ぶりに観て、連帯・団結することの素晴らしさを再確認しました。2025年現在、この映画は残念ながらメジャーなサブスクでは観られないようですが、DVDが出ているようなので、気になった方はぜひレンタルなど何らかの手段で観てみてください。
長々と好きな映画の紹介をしてしまいましたが、他にも、紡績工場での労働組合の結成を描いた『ノーマ・レイ』、職場の同僚たちの結束を描いた『サンドラの週末』、ドキュメンタリーだとアスベスト被害者たちの闘いを描いた『ニッポン国VS泉南石綿村』など、闘う労働者たちが活躍する素晴らしい映画がたくさんあります。こうした映画を観るたび、闘う労働者のために自分は弁護士として何ができるだろうかと自問しています。
