東日本建設アスベスト訴訟/第1陣 横浜地裁:一部建材メーカーの責任を認める!

 2026年3月13日、横浜地方裁判所にて私たちが支援してきた東日本建設アスベスト1陣訴訟の判決があった。この裁判は2021年10月に提訴し、原告41名(被災者単位32名)による集団訴訟で、17名からなる弁護団と中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会や当センター等の被災者支援団体とで、被告建材メーカー16社と国に対して損害賠償を求めて闘ってきた。原告41名の居住地の内訳は北海道12、福島1、茨城3、栃木1、千葉4、埼玉2、山梨2、東京3、神奈川8、静岡3、鹿児島1。

 判決内容は原告29名(被災者単位23名)に対し、ニチアス、A&AM(エーアンドエーマテリアル)、ノザワ、MMK(エムエムケイ)の4社に総額2億4822万8886円の損害賠償の支払いを命じた。一方で、原告12名(被災者単位9名)の請求について、屋外作業であることや、建材の到達が認められないとして請求を棄却。また原告2名の国に対する請求では、劇団員は建設労働者ではないとして、もう一人の鉄筋工は屋外作業だとして棄却された。

 建材メーカーに対する損害賠償責任の認定は一定評価できるものの、屋外作業に対する責任を否定したこと、吹付材のシェアによる認定をほとんど行っていないこと、劇団員の方のような建設作業類似の作業による石綿被害者に対してきちんと向き合わない不十分な判決と言える。

 棄却された原告の一部は控訴し、また敗訴した被告建材メーカーすべてが控訴したので、大部分の原告は場所を変え東京高等裁判所での控訴審が続くことになった。引き続きの支援をお願いしたい。             【鈴木江郎】

概ね10%以上の市場シェアを有していた建材メーカーの共同不法行為

 勝訴原告(被災者)の職種は大工、ボード工、左官工、タイル工、電工、塗装工、配管工、空調設備・ダクト工、ガラスブロック工、吹付工、現場監督など。これらの原告(被災者)に対し、製造・販売した石綿含有建材に石綿の危険性等の「警告表示」を怠ったとして、石綿含有建材ごと当時の概ね10%以上の市場シェアを有していたニチアス、A&AM、ノザワ、MMKの建材メーカーの共同不法行為を認めた。

 勝訴した原告の職種、責任メーカー、主要ばく露建材、石綿関連疾患、生存/死亡の別、認容額、シェア認定した石綿含有建材と責任メーカー、また敗訴した原告の職種と被告メーカーの責任を認めない理由を一覧表でまとめたのでご覧頂きたい。

 また、概ね10%以上のシェアを認定した石綿含有建材と建材メーカーは以下の通り。石綿含有吹付ロックウール(太平洋セメント)、石綿含有けい酸カルシウム保温材(A&AM・ニチアス)、石綿保温材(A&AM・ニチアス)、石綿含有けい酸カルシウム板第2種(A&AM・ニチアス・日本インシュレーション)、石綿含有スレートボード・フレキシブル板(A&AM・MMK)、石綿含有スレートボード・平板(A&AM・MMK)、石綿含有けい酸カルシウム板第1種(A&AM・ニチアス・MMK)、石綿セメント円筒・耐火被覆塩ビ管(A&AM)、混和材(ノザワ)。

責任メーカーが責任を負う範囲(寄与度)

 判決では、被災者が石綿ばく露した石綿含有建材は、本判決で責任を認めたメーカーの建材以外にも考えられるとして責任メーカーの寄与度を職種ごとに定めた。

 具体的には、①左官、ガラスブロック工、タイル工の寄与度50%、②大工、家具取付け工、空調設備工、配管工、ダクト工、電工、塗装工、ボード工の寄与度45%、③現場監督、建材御売業者の寄与度40%。先行訴訟でこの寄与度が大きく減らされた判決があったが、本判決では寄与度の水準は持ち直した。

 また、屋外作業や既存建材の取り扱いとなる解体作業にも従事した者は10%、建材メーカー製造販売期間が被災者の疾病ごとの認定ばく露期間に重ならない期間があれば10%、喫煙があれば10%、それぞれ減額された。

舞台を東京高裁に移して控訴審が続く

 4年6ヶ月に及ぶ長期間の集団訴訟を闘い抜き、一定水準の判決を勝ち取った原告の皆さまと弁護団の頑張り、そして支援を続けてきた支援団体の皆さまに改めて敬意を表したい。しかしながら国との関係で建設作業ではないとされた劇団員の方、また建材メーカー太平洋セメントの責任期間が非常に短く限定されてしまった方など、不十分で不当な内容については控訴し、また敗訴した建材メーカー4社ともに控訴してきた。従って、舞台を東京高裁に移し、控訴審で再び闘っていく。 勝訴原告一覧にある通り、提訴時11人の生存原告が、判決前に4名の方がお亡くなりになられる。生存原告にとっては特に時間との闘いでもある。いいかげんに被告建材メーカーは時間を長引かせるのは止めて、自らの責任に向き合って被災者への償いを実行すべきである。

 なお、東日本建設アスベスト集団訴訟は第2陣として16名の原告が訴訟継続中であり、また今後提訴予定の第3陣訴訟の準備が始まった。近年、建設従事者のアスベスト被害の相談が本当に多く入っている。この問題は今後も続いていくので、引き続き、気を引き締めて取り組んでいきたい。