ストレスチェック制度の義務化に際して

いよいよ12月からストレスチェック制度が義務化される。産業医や事業所向けの講習会、学習会は満員御礼状態のようだが、労働組合、労働者にはあまり知られていない。この間に自ら企画ないしはお招きいただいた場で出された意見や感想を紹介しながら、当面の方針提起をしたい。【川本】

9月27日に開催されたコミュニティ・ユニオン全国交流集会の分科会で、ストレスチェック制度義務化をとりあげさせてもらった。参加者は17名。
初めに、ストレスチェック制度について概要を解説した。後で尋ねてわかったのだが、この分科会に関心を持って参加した人たちですら、全体の2割程度しか法改正の事実を知らなかった。なるべく簡潔にと心がけたが、いかんせん複雑な経過で生まれた制度であること、まだ実施されていないことなどから、50分近くの時間を要した。
その後、4つのグループに分かれ、①自己紹介と職場のメンタルヘルス対策の現状、②ストレスチェックにどのように対応、会社に働きかけをするかについてグループ討論を行い、内容を発表してもらった。次頁のような意見が出された。
質疑の中では、50人以上の事業場が義務化されるが、人数を数える時のパート労働者の数え方や、派遣労働者はどこでストレスチェックを受けるのかと言った質問が出された。こうした疑問は、ほぼ間違いなく厚生労働省のサイトにQ&Aや実施マニュアルの中で解説されている。それにしてもわかりにくい制度だ。
10月2日には佐伯地区労働者福祉協議会と佐伯地域労働安全衛生対策協議会が企画した学習会で講演。約100名の参加。
講演スタイルの学習会であったが、参加者からの質問の中で、個人情報が守られないのではないか、具合の悪い人ほど排除を恐れて本当のことを書けないといった意見が出た。自治体職場でも、具体的に誰が担当して、どのように業務の中に組み入れていくのかをこれから議論していく段階だということであった。
10月10日に、各地の安全センター関係者らが集まった全国労働安全衛生センター連絡会議総会で、簡単に解説した上で議論を深めた。
当面の方針提起

まず、使用者を信頼できない場合は堂々と拒否しよう。それすらできない、不安がある場合は適当に答えておくしかなかろう。労働組合がある場合はそうした消極的対応ではなく、労働者側から会社に課題を提起し、積極的に関与しよう。それで信頼関係ができないなら拒否しよう。使用者が組合の関与を拒むような場合は、なおさら準備状況や実施状況を組合に報告させなければならない。
ちなみに、厚生労働省は、11月中にはストレスチェックの「実施プログラム」を開発し、配布する予定である。それには、ストレスチェックの受検、管理、高ストレス者の判定、結果の出力、監督署への報告等の機能が含まれており、データ入力さえすれば簡便に実施できるであろう。それはそれで便利だが、それにのみ依存して総合的な対策や職場改善が進まないとすれば問題だ。やはり、会社任せ、個人対応ではなく、職場ごとの集団分析と改善を労働者参加で実現しよう。そして総合的なメンタルヘルス・パワハラ対策を実現し、働きやすい職場を作ろう。
センターは、12月の施行に併せて「労働者のためのストレスチェック制度電話相談」の実施を検討している。情報を集め、対応策を練るとともに、現場の実態を厚生労働省にぶつけ、改めさせていく必要もある。