センターを支える人々:千葉茂(いじめメンタルヘルス労働者支援センター)
積極的労働安全衛生の取り組みをもっと!
千葉茂(いじめメンタルヘルス労働者支援センター)
「団結って?」と考えることがあります。団結って上位下達の統制なのではないかと。では労働者・労働組合にとって、それに代わるものはと聞かれたら、「仲間じゃないか」と答えます。カラバオの会編の本『仲間じゃないか外国人労働者 取り組みの現場から』のパクリです。
本は面白いです。外国人労働者が労災等に遭遇した時、労働者・市民、通訳者、医師、弁護士そして「労災問題に詳しい神奈川労災職業病センター」等が登場してそれぞれの力量を発揮しながら連携し、泣き寝入りをさせない対応続けます。これは団結ではく「仲間じゃないか」の認識からの協働です。そして社会に様々な問題提起をしていきました。これこそが今の様々な運動に必要なものです。
『本』で神奈川労災職業病センターの存在を初めて知りました。『本』に1960年代の西ドイツの「教訓」が紹介されています。労働力不足に際し、外国人労働者を受け入れたが「労働力を呼んだつもりだったが、人間が来てしまった」。そして彼らに対する労働者と労働組合の対応は「プロレタリアのさらに下層の者」の切り捨てでした。
今の日本に似ています。欲しいのは労働力であって人間ではありません。それは非正規労働者の置かれている問題でもあります。労働力と人間を切り離すと人権は問題にされません。
現在の労働安全衛生は、企業が災害を生み出し、労働組合は黙認しています。これに対して少数派の労働組合と「労災問題に詳しい」専門家がもたらされた問題に対応して声を上げています。どうしてもbeforeではなくafterの対応になってしまいます。
平和学では、単に紛争がない状態の「消極的平和」と、貧困を撲滅したり人権を尊重したりすることで正義を実現する「積極的平和」という考え方があるのだそうです。労働問題においてもbeforeの「積極的労働安全衛生」の取り組みをもっと強めていく必要があります。では、人権とは何でしょうか。「そうさ俺たちは人間だもの 二人の身体には血が流れているから」(長渕剛『人間』)の感性の共有です。