センターを支える人々:松田幸久さん( 済生会神奈川県病院ソーシャルワーカー/神奈川県医療ソーシャルワーカー協会理事)

 私は済生会神奈川県病院の医療福祉相談室のソーシャルワーカーとして日々患者さんに関わらせて頂き、現在10年目となりました。また、神奈川県医療ソーシャルワーカー協会の理事として、協会の研修の企画、運営を行っております。神奈川県医療ソーシャルワーカー協会は、神奈川県内で主に従事している医療機関、介護老人保健施設等に所属しているソーシャルワーカーの団体です。

センターとの出会い

 神奈川労災職業病センターとは研修や患者さんの労災認定の際にとてもお世話になっております。センターとの関わりの中で新人の頃に出会った患者さんが忘れられません。
 一人親方として建設業に従事していたが、脳卒中でリハビリが必要な状態となり救急病院から転院された方。救急病院では労災は難しいと言われた方でした。ご家族は、夏場で猛暑の中で作業を続けていた事、家へ帰っても帳簿作成や仕事の準備で休む時間も取れなかった事が発症の一因ではないか、その仕事がなければ発症しなかったのではと悔やまれており、ダメもとでも労災申請を行いたいという強い気持ちがあったため、ソーシャルワーカーとして申請援助をさせて頂きました。その際、センターともご相談させていただき、1年以上かかりましたが無事に労災認定されました。
 この経験からも、本来、労災になるような方がそのままスルーされてしまい、労働者としての権利を行使できないまま埋もれてしまっていると思います。ソーシャルワーカーの使命として、クライエントの権利擁護があります。最近は、病院の事務部門が労災の窓口になっているという話もありますが、病気と仕事(端的に言うと生活)の関係性について考えるのはソーシャルワーカーの仕事と言えます。

センターと協働で行っている労災職業病講座

 近年、病院のソーシャルワーカーは退院支援が業務量として大きくなっています。しかし、クライエントの生活を支援するということは退院すれば終わりという訳ではありません。むしろ、退院してから生活がまた始まります。医療機関所属のソーシャルワーカーにはその視点を持って頂きたく、センターと一緒に、医療機関に所属しているソーシャルワーカー向け研修を企画、実施しております。ここ数年では、「労災の基礎」や「外国籍の方への医療の現状」、「労働相談を受けた際の相談ポイント」、「ブラック企業被害の対策・相談ポイント」と、その時々での話題を中心に研修を開催していきました。
 今年度は「新型コロナ感染症の労災認定」について研修を開催致しました。協会内より、新型コロナ感染症の労災申請援助を行ったが手続きに時間がかかる、何を準備すれば良いかわからないという声があり、今回の企画に繋がりました。
 講師からは、本来労災認定される方が労災に繋がっていない現実があること、その理由として「労災隠し」「保健所のキャパオーバー」「自分が労災申請できるか知らない」等があげられました。解決方法として、支援者が本人の状況を整理し、適切に労災の案内を行うことであるとのことでした。 新型コロナ感染症の方は医療に繋がっていますが、全員がソーシャルワーカーに繋がる訳ではありません。ただ、ソーシャルワーカーに繋がったとしても、ソーシャルワーカーに問題意識がないと変わりません。
 今後も、労災職業病講座が、医療機関所属のソーシャルワーカーに、何か動かなくてはと思うきっかけとなり、アクションに繋がり、労働問題に悩まれている方の支援に繋がるように、センターと一緒に企画していきたいと思います。