2024厚生労働省との交渉

 1月23日に全国労働安全センター主催で厚生労働省と総務省との交渉が行われた。時間が2時間と限られていたため十分な議論は出来なかったが、特に当センターがやりとりに関与した項目について報告する。【川本】

分かりやすい用語を!

 第14次労働災害防止計画で使われている「アウトプット指標」と「アウトカム指標」の意味が非常にわかりづらい。小田原署では、アウトプット指標として「転倒災害に取り組む事業場の割合を27年までに50%以上とする」とし、それに対応するアウトカム指標は「転倒による平均休業見込み日数を27年前に35日以下とする」である。取組状況の数字がなぜアウトプット(=生産高、出力などの英語)なのか? アウトカムは成果や結果という意味なので説明されればわかるが、果たしてどれぐらいの現場労働者が理解できるだろうか。単純に日本語で「取組の指標」、「成果の指標」と言えばよいだけではないか。実際、監督署交渉で「わかりづらく、評判が悪いです」という声をきいた。
 用語の修正を求めると、本省担当者は「説明して理解を求める」と回答するのみ。なんという上から目線、現場無視の姿勢だろう。計画でも「労働者の協力の下」実施すると言いながら本気で災害防止する気があるとは思えない。

ストレスチェックの集団分析について

 ストレスチェックで個人のストレス低減に役立てるというプランは全く機能していない。むしろ、集団分析をして高ストレス者の多い職場の改善を図るべきである。実際にストレスチェックを実施している事業場ではほぼ全ての職場で集団分析もしている(単純な数字の集計ですむからだ)。そのデータを安全衛生委員会に報告して議論するだけでよい。
 ところが本省回答では「法的に努力義務です」「職場改善の取り組みを周知している」というわかりきった現状解説をするのみ。国会で、質問に対しわざとかみあわない説明をしてはぐらかすのを「すれ違い答弁」と言うらしい。こういうのを作るため深夜まで残業している本省の人は気の毒で、まさに高ストレスになると思うが、こちらは2週間以上前に要求書を提出しているのだからもっとまじめに答えてもらいたい。