アスベスト労災裁判(控訴審・証人尋問)傍聴のお願い(2018年8月6日・東京高等裁判所808号法廷)

アスベストユニオン活動報告(川本)

野村労災裁判(控訴審・証人尋問)傍聴のお願い
【日時】8月6日(月)午後2時30分から午後5時
【場所】東京高等裁判所808号法廷

 当ユニオン組合員であり、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」でも活躍している野村さん(富山県)の夫(故人)は、1980年代前半の学生時代のアルバイトで建設等の作業に従事したことが原因で悪性胸膜中皮腫を発症し、2013年1月に47歳で亡くなられました。亡くなる直前の2012年11月末に、労災事業場公開に際してアスベストセンターなどが実施したホットラインに、製造メーカーの責任を追及できないかという相談を寄せられたのです。

 夫の作業は、アスベスト建材を切断するものでした。しかもGL工法と言う、製造メーカーである「吉野石膏」独自のものであり、取り扱っていた建材は限定されます。夫は、その後アスベストにばく露する機会が全くありませんでした。ユニオンは、直接雇用主であった、その名も「ジーエル本江」に団体交渉要求をしました。「ジーエル本江」は、吉野石膏の製品を使用していたことを認めながらも、自社にも元請各社にもアスベスト発病者はいないなどとして、団体交渉を拒否しました。「吉野石膏」に対しても、代理人弁護士が話し合いによる解決を求める通知書を送付しましたが、「法的責任はない」と回答。やむなく野村さんらご遺族は、2014年8月に、「ジーエル本江」と「吉野石膏」を相手取り、1億1600万円余りの損害賠償を求める裁判を東京地裁に提訴しました。

 ところが一審の東京地裁は、2018年1月12日、全面的に原告の請求を棄却する不当判決を言い渡しました。夫が、建設現場でアスベストにばく露した可能性はあるものの、はっきりしないから賠償義務はないというものでした。30年近く前のアルバイト先での労働環境を証明せよというのは不可能に近いことです。しかも会社は、アスベストはおろか、ほこりも全くなかったなどと言い張っているのです。裁判官が、いったん採用した原告側証人を後日不採用にするなど、不可解な訴訟指揮もありました。野村さんはただちに控訴。そして、当時やはり夫と一緒にアルバイトとして働いていた弟の陳述書を提出。証人申請も、第1回口頭弁論で、「当時の現場のことを語る唯一の労働者だから」という理由で採用されました。

 いよいよ証人の尋問が行なわれます。逆転勝訴に向けた極めて重要な尋問です。みなさんの支援が必要です。多くの皆さんの傍聴をよろしくお願い致します。