労災相談Q&A:パワハラによるうつ病

【質問】
上司のパワーハラスメントが原因でうつ病を発症しました。仕事はなんとか続けているのですが、毎朝出勤するのが苦痛です。長時間労働ではなく、残業はほとんどないのですが、労災認定は可能でしょうか。

【回答】
過労による精神疾患が大きく報道されることが多いのですが、実はパワーハラスメントが原因で精神疾患で労災認定される人も少なくありません。平成29年度に労災と認められた506 件のうち、153件が長時間労働(仕事量の大きな変化、残業月80時間以上、2週間以上の連続勤務)が原因で、111件がパワーハラスメント(ひどいいじめ・いやがらせ・暴行、上司や同僚とのトラブル)が原因でした。
ただし、労災と認められなかった件数を加えると、長時間労働は317件に対して、パワーハラスメントは573件ですから、パワハラの方が、請求する人が多いのです。しかし、請求人の主張が認められにくいのが現状です。労働時間に比べると、立証が容易ではないことが理由だと思われます。つまり、上司のパワーハラスメントの具体的な内容とひどさを客観的に証明する必要があります。暴言などを録音する人も少なくありませんが、あまりうまく記録できないことも多いので、同僚の証言を得ることも重要です。もちろん自分であらかじめ全て準備する必要はありませんが、労災について調査をする労働基準監督署には、どういう点について誰に調査してほしいのかをきちんと伝えなければなりません。詳しい労災認定状況については、下記の厚生労働省サイトをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00039.html外部サイトへリンクします(平成29年度「過労死等の労災補償状況」)