神奈川労働局交渉(2020/3/13)の報告

3月13日、神奈川春闘一日行動の一環で労働局との交渉が行われた。新型コロナウイルス感染拡大をうけ、夜の春闘決起集会とデモが中止されたこともあって、例年よりも参加者が若干少なかったが、約20名が参加し、要請と情報交換を行った。要求事項(枠内に記載)に対する局の回答、団体とのやり取りを簡単に報告する。【川本】

「同一労働同一賃金」について

大企業における施行が迫っているにもかかわらず、準備をしていない企業があまりにも多いので、徹底的な監督指導と併せて好事例を積極的に収集してサイトに掲載するなどして、中小企業も含めた啓発指導を図ること。

局の回答 好事例は本省で収集中で、近日には公開予定と聞いている。


団体から コロナ対策の休業、休暇などを含めて正規と非正規の格差の是正を強く求めた。

時間外労働の残業規制について

多くの中小企業で時間外労使協定がない、適正に労働者代表が選出されていない実態を踏まえて、「時間外労働の残業規制」は、原則の月45時間・年360時間を徹底するように指導すること。

局の回答 労働者代表の選出が適正におこなわれているかどうかについて、受付でも必要に応じてやりとりするし、臨検監督時には必ず確認する。


団体から 特別条項で労使意見が対立することがある。少なくとも労働者側が納得しない内容の特別条項はあり得ないことを確認。

パワーハラスメント対策導入マニュアルについて

職場のパワーハラスメント対策が法的に義務付けられる一方で、その指針の内容は、かねてから厚生労働省が作成して啓発している「パワーハラスメント対策導入マニュアル」よりも後退しているので、法の周知と併せて、同マニュアルの周知をより徹底すること。

局の回答 使用者の関心は高く、2月に関内ホールで800人規模の説明会を行った。神奈川労働局のホームページでも「職場のハラスメント防止対策」として、トップページで一元的にまとめて紹介。(注1)
労働局のあっせん等でどこまで何ができるかについては、本省の指示を待っている段階。

神奈川県の最低賃金について

神奈川県の最低賃金をすみやかに1500円に引き上げること。

団体から 全国一律最賃の実現を。地方最低賃金審議会議事録等の公開は参考になる(注2)。続けて欲しい。

新型コロナウィルス関連の労働問題について

1 会社の指示で休業させた場合には賃金を保障するように指導すること。その際に必ずしも就労日数や労働時間が決まっていない場合や成果給の割合の高い労働者などについては、通常の実績に応じた金額とするようにすること。

2 派遣や構内下請け労働者など直接雇用ではない労働者が、派遣先や元請けの指示で休業せざるを得ない場合は、休業に関して実質上の権限を持つ使用者が派遣料や請負代金保障等の配慮を講じて、直接雇用主が賃金保障できるように指導すること。

3 不特定多数に接客する職場であるにも関わらず、マスクの着用等を禁止したり、労働者本人が年次有給休暇を申し出ても拒否する会社があるので、あくまでも労働者の意向を尊重するように会社を指導すること。

局の回答 2月14日から、局の指導課に特別相談窓口を設置した。3月に入って一気に増えて1日40~50件、各監督署も合わせると100~200件になっている。臨時休校対応で休んだ場合の助成金の件が労使双方から多い。営業短縮・休業関係がとりわけ使用者から多い。全体としては労使半々ぐらいの印象。

休業手当は法令上平均賃金(過去3ヶ月)で算定せざるを得ない。派遣法労働者の場合、派遣元で法違反があれば派遣法39条で派遣先の措置も義務付けられているが、下請けはなかなか難しい。

団体から コロナ対策で休業した場合に、有給休暇を使うか使わないかを決めるのは労働者。仮に有給休暇のない場合こそ、使用者側に何とかするように指導してもらいたい。