中皮腫で死亡した米海軍横須賀基地のアスベスト裁判 全面勝利判決!

中皮腫で死亡した米海軍横須賀基地の現役従業員
Tさんのアスベスト裁判 全面勝利判決!

テレビや新聞でも大きく報道されたが、七月六日、米海軍横須賀基地の現役従業員だったTさんのアスベスト裁判で、横浜地裁横須賀支部は、雇用責任を負う国が安全配慮義務を怠ったとして、七六八四万円の損害賠償を命じる判決を下した。すでに、同基地を退職した元従業員らの石綿じん肺裁判では、第一次の全面勝利判決(〇二年一〇月七日)に続き、第二次、第三次で勝利和解しているが、現役従業員の裁判としては初の勝利判決だ。
Tさんは五一歳の若さで中皮腫で亡くなったため、賠償金には逸失利益四一五八万と慰謝料二八〇〇万を含んでいる。ただ、平成二(一九九〇)年まで国は何の安全対策も行ってなかったとする原告側の主張を退け、Tさんの職場において「少なくとも昭和六二(一九八七)年頃まで、粉じん濃度に応じたマスクを整備し、これを着用してアスベスト作業にあたるよう、作業員を指導監督するというアスベスト対策が実施されていなかった」として、国の責任期間を一九八七年頃までと限定した。しかし、前述の第一次じん肺裁判の判決では、国の責任期間は昭和五七(一九八二年)年頃までだったので、この裁判で国の責任の及ぶ期間を広げたことは確かだ。「自分と同じPWC等の職場で働く同僚のために提訴した」という、Tさんの命がけの思いは、確実に判決に取り入れられたと言えるだろう。
夫の遺志を継ぎ、裁判を闘ってきた美枝子さんは、「いい結果が出たことを主人に報告したい」と記者会見で語った。また、長男の一人さんは、「父も喜んでいるだろう」と報告集会で挨拶した。判決の詳細は次号に掲載する。【西田】