地方公務員災害補償基金と総務省と交渉

 センターは労災職業病相談が寄せられているが、近年、公務災害認定に関するものが増えている。そこで地方公務員災害補償基金本部と総務省(自治行政局公務員部安全厚生推進室公務災害補償係)との交渉を行った。要請書は別記の通りであるが、何が課題なのかと言う視点から報告する。【川本】

基金本部職員の過半数は総務省職員

 基金本部に確認したところ、2020年度の52名の職員のうち、27人が総務省職員で、人事院5人、地方自治体9人、本部の直雇用が3人、その他が8人。自治体行政に総務省が深く関与していることは言うまでもないが、公務災害補償についても、制度的にも実務的にも総務省が仕切っていると言ってよかろう。
 基金本部と交渉しても、暖簾に腕押し、あるいは形式的な回答ばかり。どちらかというと総務省との交渉の方が、現場の話を聞いて率直に意見交換しようとする姿勢を感じた。

請求人の聴取は不要 の立場を崩さず

 民間の場合は、職業性疾病の場合は経過や業務内容を詳しく把握する必要があるため、被災者本人であれ遺族であれ、必ず聴取を行う。もちろん書面での申立書の提出も求められるが、その確認も含めて、健康上の理由などでどうしても困難である場合以外は、必ず聴き取りは行われる。
 ところが公務災害の場合は全く逆で、基本的には文書のみで調査が行われる。パワハラなどの場合は、事実関係も含めて加害者と被害者の言い分が大きく異なることもあるので、やはり当事者本人の話をきくべきではないか。基金本部は、訴訟で聴取すべきだというような判決が出たら検討するという回答。全く前進がない。ちなみに総務省はあくまでも基金の判断としながらも、それほど否定的ではなかった。

専門医は実績のある医師からの紹介?実績のある医師はどう選ぶ?堂々巡り…

 専門医が公開されないのも基金の特徴。明らかに誤った意見も見受けられるので、どのような任命基準なのかを尋ねてきたが、「実績のある医師からの紹介です」という回答。では、紹介する実績ある医師はどうやって選ぶのか?任命基準もないという。

自治体職場の労災発生件数の集約も分析も不十分

 労働安全衛生法が適用されて報告する義務があるが、基金あての要請書4の通り、それを集約したり分析する部署がない。報告漏れがあったとしてもチェックのしようがない。また、「その他公務起因性が明らかな疾病」の内訳を説明できず、頸肩腕症候群が少な過ぎるのではないかといった指摘に対して、かみ合った議論ができない。
 さらに突っ込んだ要請と交渉を継続して行っていく必要がある。