センターを支える人々:阿部 賢治(全造船関東地協労働組合全労済分会)

全労済神奈川県本部の健康に関わる活動について

 全労済神奈川県本部(現:こくみん共済COOP神奈川推進本部)が、これまで行ってきた健康に関わる活動について報告します。

大腿四頭筋短縮症の支援活動

 73年、山梨県鰍沢町の3歳児検診で発見され社会問題化した大腿四頭筋短縮症(薬害筋短縮症)に対し、当時の全労済山梨県本部がいち早く被害者支援の活動をスタートさせました。その後、神奈川県本部を始め多くの県本部が活動に参加し、活動に関わる事務局を担いました。
 神奈川県本部事務局の主な活動は、幸病院・港町診療所(当時)の今井重信医師達に支えられた自主検診の開催や相談窓口の設置による被害者の確認でした。被害者を確認後には被害に至る調査やカルテ保存などの事務対応を行いました。また、職員同行でキャンプやハイキングなどを実施し、被害者家族間の連携や社会問題に対する認識の向上に努めました。
 これらの支援活動を行う中で神奈川県内のスモン病などの薬害被害者組織とも交流し、連帯を図りました。

VDT作業の環境改善のための調査

 VDT(ディスプレイを持つ画面表示装置)作業が拡大し始めた頃、職員の定期健康診断(港町診療所で実施)でも徐々に視力低下などの傾向が散見されるようになり、天明佳臣医師から調査の必要性が提案されました。会側は提案を受け入れ、88年7月に港町診療所を中心とするチームによる調査が実施され、神奈川県本部にVDT作業を行う上での問題点が指摘されました。
 さらにVDT作業問題点改善のため94〜95年に全職員に対するアンケート及び各部署の各種環境測定なども含め再調査を実施。これらの調査の結果については、94年4月に『VDT作業のためのチェックマニュアル』、95年4月に『VDT作業環境改善のための調査報告書』が提出されました。神奈川県本部も指摘された改善点について、VDTの配置変更や照明の仕方の変更、ディスプレイの機種変更(プラズマ→液晶)促進、女性のための電磁波避けエプロンの配備など可能な範囲で対応をおこない組織としての対応は高く評価できるものでした。

研修会実施による職場環境の改善

 港町診療所の天明医師には神奈川県本部の産業医として健康診断や職員の相談の対応、職員研修会で労働環境について講師を務めていただくなどしました。
 また、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメント問題については、「女のユニオン・みずら」の阿部裕子氏を講師に招き、課長以上を対象とした学習会を開催し、職場環境の改善に向けた努力は評価できました。

現在の全労済

 現在の全労済(現:こくみん共済COOP)は、組織強化や組織併合・傘下事業体(会社)の増加など多くの課題があるものの、非正規職員・無期雇用者の希望者を段階的に正規職員化するなどの対応は改善の努力を評価できます。我が組合は少数ながらも今後とも粘り強く労働環境の改善や多様な働き方を目指して闘い続けていきます。