よこはまシティユニオン組合員交流会 「コロナ禍における職場実態」

よこはまシティユニオン 平田淳子

多彩な職種、 現場のリアルを実感

 よこはまシティユニオンはコロナ禍の中、毎年秋に開催する1泊2日の討論合宿を中止し、代わりに半日のみの組合員交流会を企画。感染予防対策のため会場選びと打合せは慎重に行い、参加人数と時間制限もかけ、ワークピア横浜の会議室で、11月14日午後に開催しました。

 組合員や賛助会員27名が参加し、1時すぎに開始。派遣として外資系企業で働き続けるKさんをはじめ、1年契約で働く常駐警備員、スーパーマーケット精肉部の店員、教育現場を回るスクールソーシャルワーカー、中小企業の製造現場職、訪問看護ステーションの看護師、大手IT企業のシステムエンジニアが、それぞれの職場のコロナ対策や仕事への影響、職場の課題について報告を行いました。横浜市の学童保育指導員の職場レポートも紹介して、4時に終了しました。

 参加者に感想や意見をうかがったところ、全体的には好評でした。ただ、時間的余裕がなく、もっと話を聞きたかったのに残念、質問したくてもできなかったという意見もありました。

 在宅勤務については、長所や問題点、職種による違いも見えてきました。そもそも在宅勤務ができない職種もあるし、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種ほど職場内でも自宅でもずっと緊張を強いられている厳しい状況がうかがえました。個々の企業や職場の努力だけでなく、自治体や国が対策を立てて制度を整えることが必要だと思いました。

 発表者の中では、Kさんの話に大きな反響がありました。Kさんは20年以上にわたって派遣として働いています。その様々な職場での経験をもとにしたコラム「はたらくひとたち」はユニオン機関紙で毎月、好評連載中です。実は今回の交流会も、コロナ禍の最中に書かれたコラムを読んで、Kさんの話をもっと聞きたい、他の人の職場ではどうなっているんだろうという組合員の声から企画されました。

活動に活かそう

 よこはまシティユニオンには、コロナ禍に便乗した退職勧奨や解雇の相談も寄せられています。差別を許さず、誰もが働きやすい職場づくりを目指し、これからも組合員が力を合わせて一つ一つ取り組んでいきたいと思います。

参加者の感想

・在宅勤務は問題が多くあると思った。
・コロナの影響でテレワークが増え、職場の人とのつながりをどう作るのかが課題。
・三密回避、マスク、検温など感染予防対策はどこも同じだが、出勤必須の職種と在宅勤務できる職種の落差を痛感した。
・コロナ感染したスーパーの店員が退職せざるを得なかったりという話があり、厳しい状況に置かれていると感じた。自分が働く製造業では考えられない。
・想像以上に、スーパー店員と訪問看護師の話が心にずーんと来た。
・感染防止と社会活動を両立させるため、PCR検査をいつどこでも無料で受けられ、陽性判定者は療養できる制度作りが必要だと思った。

・息子も複数の外資系会社で派遣で働いているが、解雇される度にショックが大きいようだ。
・派遣として働き続けるKさんの生き方が頼もしかった。
・Kさんの話は、非正規で働く私にとっていろんな意味でとても刺激的だった。今後の自分の働き方を考えるきっかけになった。
・Kさんの話は内容が常識から飛んでいて、なるほどと思うこともあった。

ユニオン機関の連載コラム「はたらくひとたち」より

■コラム121(20年4月号)
 派遣先は秘匿業務のため、扉は常時閉まっており窓ガラスはない。同じ部屋に正社員が200人。派遣は自分一人。2月から社員は在宅勤務。広い空間で一人ぼっちで仕事をするのは感染の懸念なく快適だった。しかし、数日後「家で仕事していると家族に邪魔される」と数人出社。更に数日後、ゴホゴホ咳をした人が出社。「家族にうつすなと言われる」と。そして、ぞくぞく日本人が出社。外国人は出社しない。テレワークに不向きな国民性なのか、感染拡大防止だと言うことを忘れてしまったのか?やっと派遣も在宅勤務になりホッとしている。

■コラム122(20年5月号)
 いち早くテレワークを始めても、取引先の協力がないと業務は進まない。見積もりをファックスで送ってくる会社に、請求書を電子化してくださいなんて頼めるわけがない。物流大手3社に依頼したところ即時対応。Y社からは「お体に気をつけてください」のメールまで。通信3社は、インターネットで申し込めず、電話屋なのに電話がなかなか繋がらず、依頼については来月以降に対応するとの回答。通信の速さを競って宣伝している通信インフラ業界が最も対応が遅いと言う衝撃。これではテレワークに対応できない企業が有っても仕方ない。

■コラム123(20年7月号)
 バブル崩壊もリーマンショックも経験した。非正規で生きる自分はとうに覚悟ができておる。我が行く末は派遣切りと腹をくくるアフターコロナ。期せずして契約は更新された。しかし、就業先の全派遣社員の約半数が契約満了になっていた。ある日突然、一斉に出社できなくなり、派遣だけがそのまま二度と出社できなくなる。私物を取りに行くことも、退職挨拶もできないまま。感染防止とは言え、バブルもリーマンもこんな不人情なことはなかった。彼女らの私物を片付けながら、経験ではまかなえない脅威の気配を感じたコロナショックの始まり。