労災認定を否定する鉄道運輸機構とJR東日本
旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判を支援する会
事務局長 小池敏哉
真実を隠さず、責任を認め、補償を行え!
旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判の続報をお届けする。昨年11月10日の第2回口頭弁論で、旧国鉄・JRは責任を否定し、労災認定の事実を否定するために「提出写真では胸膜プラークが不鮮明で確認できないためデータの提出を求める」と主張。1月22日には進行協議が開かれた。残念なのは原告の黒沼さんが新型コロナに感染し1月24日に急逝されたことだ。隔離病室で裁判報告を聞き「生き抜いて次回裁判に臨む」と決意されていた黒沼さんの遺志を継ぎ、支援を強化し、闘い抜くことを付しておく。【池田】
1月22日11時、東京地裁で「旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判」の進行協議が行われました。当日は弁護団と支援者5人が事前に打ち合わせ後、代理人弁護士と4名が協議に同席しました。被告は、代理人2名に加え、機構・会社の3名が同席。
冒頭、裁判長から、原告提出の準備書面⑴と甲5・6号証について確認、被告側の基本方針について質問がありました。これに対し、被告側は、「肺がんはアスベストが原因とは思えない。機構に一度申請された際に審査で蹴とばしている。原告はアスベスト業務には関与していたが業務が起因ではなく、争う」としました。裁判長が、「労基署が国の基準に沿って認定したものでも争うのか」と質問すると、被告側は、「労基署の判断に関心はない。むしろ、たばこが原因であり、最高裁におけるクボタの判例もある」と主張しました。
原告代理人から「今回提出した証拠の画像からプラークは確認できる」と指摘しました。被告側は「求釈明もあり、確認と反論準備に相当の時間を要するので次回期日を延期してほしい」と要望。これを踏まえ、裁判長は、次回は3月31日(水)10時から口頭弁論を開くことを決定しました。
次回期日は3月に延期となりましたが、被告側の主張は、「肺がんになったのは喫煙が原因、原告就労時はアスベスト対策は実施していたし、石綿が飛散する車両は減少していたので責任はない」とするものです。しかし、当時を知る多くの同僚の証言は、立ち込める粉塵や間近に存在した石綿部材について存在を記憶しており被告の無責任な主張には同意できないと話しています。今回提出した原告準備書面でもその矛盾を突きつけています。被告は、真実を糊塗することなく、責任を認め、解決に向けて真摯な対応をすべきです。
JRアスベスト裁判支援の会が発足
昨年12月10日、旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判を支援する会(略称JRアスベスト裁判支援の会)が発足しました。アスベストにより肺がんを発症し損害賠償を求めた原告の黒沼義則さんを支援し、裁判闘争の勝利、被告旧国鉄・JRの責任追及、公正な補償を求めることを目的とし、裁判傍聴や署名活動、集会・学習会の開催、ニュース等による情報提供などの活動を行います。会の事務所は、品川労協(品川区大崎2-7-5)気付で、会費は年間個人会員500円、法人会員1口2000円です。
役員体制は、会長に藤野節氏(国鉄・JR東京OB親睦会会長)、副会長に(国労東京地方本部に就任要請中)、木村正氏(国労大井工場支部委員長)、佐藤盛雄氏(国労大井工場支部OB親睦会会長)、事務局長に小池敏哉氏(元国労本部中央執行委員)、事務局次長に池田理恵氏(神奈川労災職業病センター)、幹事に浦郷親義(国労大井OB会事務長)安元宗弘(じん肺・アスベスト被害者救済基金事務局長)氏が就任しました。
■国労本部などに要請行動
1月22日の裁判終了後、国労本部、同東日本本部、東京地方本部に、裁判支援並びに支援の会への賛同など要請行動を行いました。小池事務局長と国労大井工場支部伊東副委員長などが参加。本部は佐藤書記長、東日本本部は大沼委員長、東京地方本部も石井書記長が対応して頂きました。裁判闘争の経過、会の目的、今後の取り組みなどを説明し、裁判を契機にJR・旧国鉄退職者に公正な補償を求めるためJR各社に制度の改善を求める取り組みをしてほしいと訴えました。 各機関とも検討を約束して頂きました。