被ばく労働に関して東京電力は団体交渉に応じろ!

 原発関連労働者ユニオン

 あらかぶさんをはじめ福島第一原発で働く、あるいは働いた労働者にとって、被ばく労働は絶対に避けることのできない問題である。あらかぶさんが加入した原発関連労働者ユニオンは、東京電力に対し団体交渉を求めたが拒否され、東京都労働委員会に不当労働行為救済申し立てを行った。
 申し立て当初、裁判所で言えば裁判長にあたる公益委員が、「これはちょっと難しいですね。先行事例もあって団体交渉権は認められていませんし」と率直に言って、救済はもとより審理そのものに消極的だった。しかし、準備書面や証拠を提出していく中で、「証拠で紹介されている文書も出してください」「その判例を教えてください」と、どんな結論を出すにせよ慎重で十分な検討が必要という姿勢になってきた。
 使用者は、労働組合法で団体交渉に応じる義務があり、多くの場合雇用主である。ただし福島第一原発について言えば、東京電力こそが被ばく管理、被ばく労災補償、危険手当について大きな責任があることは言うまでもない。従って、労組との団体交渉に応じる義務があるというのがユニオンの主張。一方で東京電力は、自分たちはあくまでも発注者であり、元請企業や直接雇用主である下請け企業だけが使用者だと反論している。
 そもそも福島第一原発の事故は、放射性物質がどこにどのレベルで存在するのかが全くわからない、作業をしてみないと、どの程度の被ばくするのかがわからないという、極めて「異常な」、労働安全衛生法も全く想定していないような事態である。だからこそ、発注者に過ぎない東京電力に対して、経済産業省ではなくて厚生労働省が厳しく行政指導している。東京電力が証拠で提出してきた元請企業との請負契約書でも、被ばく労働にともなう疾病については、元請ではなくて東京電力が補償すると明記されている。危険手当も上記のような被ばく労働ではなければ、一律全員に支払うということにはならないはずだ。

 次回7月12日の労働委員会では東京電力が反論を準備している。東電が、下請け労働者が所属する労働組合との団体交渉に応じるという課題は、あらかぶさん一人の問題ではないという意味で損害賠償裁判に優るとも劣らぬ重要な闘いである。ご注目ご支援よろしくお願いします。