震災時ガレキ収集で石綿ばく露した市職員 Sさん、公務災害認定!

ひょうご労働安全衛生センター
 明石市環境事業所の職員であったSさんは、2012年春、体調の不調を訴え病院を受診したところ悪性腹膜中皮腫と診断されました。医師から病気の原因がアスベストであることを告げられ、思い出したのは阪神淡路大震災で発生した瓦礫の収集作業でした。 そのため、地方公務員災害補償基金兵庫県支部に公務災害認定請求を行いましたが、同支部長から公務外認定の処分を受けました。腹膜中皮腫を発症したことは認めるが、腹膜中皮腫は高濃度、長期間のばく露によって引き起こされるため発症までの期間が短い。そして、震災瓦礫の回収作業や埋立処分場において大量の石綿が含まれた粉じんを吸引したと認めることはできないとの理由でした。
 Sさんは2018年1月15日に神戸地裁に提訴。3月26日に判決が言い渡されました。主文は、「公務外災害認定処分を取り消す」でした。

不利益に扱うことは
相当ではない
 阪神・淡路大震災後の復旧・復興作業において、飛散したアスベストにばく露したことが原因で5人が中皮腫を発症し労災・公務災害と認定されています。その中には約1ヶ月間だけ被災地で警ら活動に従事した兵庫県警の警察官も含まれています。 訴訟では、この警察官を公務災害認定した理由とSさんのばく露内容を検証。判決では、警察官よりSさんの方がばく露期間が長期間に及び、Sさんのばく露量は明らかではないが、大震災という状況下においては資料がないことを理由に「被災職員の不利益に扱うことは相当ではない」と判示しました。また、腹膜中皮腫に関しても、「症例数が少ない腹膜中皮腫について、確定した医学的知見に乏しい状況にあるといえるから、医学的に未解明な点があることをもって被災職員の不利益に扱うことは相当ではない」と判断しました。
 判決を受け、基金支部と基金本部に対し判決を受け入れるよう要請しましたが、基金側は大阪高裁へ控訴しました。被災者救済の機関が役割を果たさず、争いを長期化させることに憤りを感じます。公務災害を勝ち取るため、引き続き皆さんのご支援をお願い致します。