日本冷熱に損害賠償を求め、熊本地裁に提訴:アスベストユニオン

 日本冷熱天草工場(熊本県)に採用されたYさんは、造船所における保温作業等に従事したことにより石綿肺がんを発症し、また電動サンダー等の振動工具を長期間使用していたため振動障害を発病しました。石綿肺がんも振動障害も、労働基準監督署から業務上の災害と認定されました。
 仕事が原因で2つの病気を発病したのですが、日本冷熱からはお見舞いの言葉もありませんでした。そのためYさんは、アスベストユニオンに加入し、日本冷熱と交渉を通じて話し合うことを選択されました。
 しかし、日本冷熱は労働組合を嫌悪し、「裁判において認められたことについては対応するが、それ以外の事については履行することはできない」「将来訴訟が考えられているため団体交渉における回答はできない」との対応でした。日本冷熱の不誠実な交渉対応について、現在、神奈川県労働委員会に不当労働行為の救済申し立てを行っています。
 会社の対応が不誠実であるため、21年5月10日、石綿肺がんと振動障害に対する損害賠償を求め、熊本地方裁判所天草支部に提訴しました。今回の案件は、アスベスト被害救済訴訟九州弁護団の先生方にご協力頂くことになりました。請求額は、損害金と弁護士費用を合わせた3300万円です。
(提訴後に本庁回付が決定し、裁判は熊本地方裁判所で行われることになりました。)
 提訴後の12日、熊本県弁護士会館で、Yさんと弁護団そしてユニオンも同席して記者会見を行いました。Yさんは、「会社は、労組と誠実に話し合おうとせず、裁判で決まったことには応じるという態度でした。会社のために一生懸命働き、その結果、体を壊したのに、この間の会社の対応は残念で仕方ありません。私と同じような仕事をした人は沢山います。体を壊しても労災の申請もしていない人もいると思います。一緒に働いた同僚らのためにも、シッカリ訴えていきたいと考えています」と訴えました。皆さんのご支援をお願いします。