上司からパワハラを受け休業中のSさんの労災認定を勝ち取ろう!

 ブルーマチックジャパン(輸入コーヒーマシン販売業)の総務・人事部門で働いていたSさん。19年1月に入社して間もなく、メンタル不調になった社員のフォロー等に従事させられ、さらにベテラン社員からいわれなき叱責を受けるなどし、自らも体調を崩してしまった。Sさんは、時短勤務、業務量の軽減などを申し出て、治療しながら就労してきたが、結局のところ、負担が減ることはなかった。

 21年1月、会社はSさんに対して、2ヶ月分の賃金を支払うので3月で辞めて欲しい、出社も必要ないと退職勧奨をした。そもそも体調を崩したのは仕事が原因であり、わずかな補償で退職することに納得できるはずがない。弁護士に相談したSさんに対し、会社は、提案した金額に納得できないならと出社を指示してきた。つまり、辞めるか、改善のない職場で働くのかを迫ってきたのだ。

 Sさんは、相談した弁護士に紹介された「よこはまユニオン」に加入し、まずは労働条件の改善を求めて交渉することにした。ところが会社は、Sさんの病気はあくまでも私傷病であり、会社は十分に配慮してきたという姿勢を崩さない。基本的な事実経過すら認めないため5月に交渉は決裂した。

 6月に会社は、神奈川県労働委員会に、Sさんの雇用契約についてのあっせんを申請。ユニオンは、これを受けて解決をめざしたが、会社側が労災損害賠償も含めた解決金による全面解決にこだわったために合意に至らず、自ら申請したあっせんが取り下げられた。

 7月にSさんは労災保険休業補償を請求。弁護士の協力も得て、事実経過をまとめた意見書も作成し提出した。早期業務上労災認定を勝ち取って、ユニオンは再度、会社との交渉に臨む予定である。