コロナ感染した看護師Kさんを労災と認めない病院に「喝!」

よこはまシティユニオン 川本浩之

 神奈川県内の病院の脳外科病棟で看護師として就労していたKさんの新型コロナウイルス感染症について、労働基準監督署は21年9月、業務上疾病として支給決定した。Kさんは、よこはまシティユニオンに加入。ユニオンは病院に対し、発症直後にKさんの労災申請に協力しなかったことなどについて謝罪すること、損害賠償、職場復帰への協力などを要求した。病院は、団体交渉には応じたものの、Kさんの感染経路は不明だとして労災と認めず、Kさんへの対応も含め病院の感染予防対策に問題なかったという姿勢を崩していない。 ちなみに、労働基準監督署は感染原因について、以下の通り調査結果をまとめている。

▼病棟看護師として、症状等でマスク着用できない入院患者に対し、体位交換、排せつ介助、全身清拭、口腔ケアなど直接患者に触れ、看護業務を行っていた。

▼所属事業場でコロナ感染した看護師と更衣室や食堂などを共用していた。

▼請求人が接触していた患者のうち2名が新型コロナウイルスに感染していることが判明した。

 労災認定以降、ユニオンは団交を重ねる中、21年11月には入院患者、12月には職員の感染が判明した。まずはKさんを労災と認め、それを前提とした予防対策を講じることが喫緊の課題である。上記の感染者が出たこととその後の対応は逐一、病院ホームページにも掲載されており、なぜ頑なにKさんの労災を否定するのかは不明である。また、Kさんが医学的な質問をしても、病院側出席者は質問を理解できず、議論がかみ合わない。22年1月に行なわれた3回目の団交で、病院側の感染管理認定看護師が1時間だけ団交に出席し、ようやく議論が進んだが時間不足。その看護師の求めもあり、ユニオンは2月初めに71項目にわたる質問を文書提出し、11月の入院患者、12月の職員の感染原因と対策を明らかにすることも併せて求めた。

 病院側は、オミクロン型の広がりで多忙という理由でいまだに回答していない(3月18日時点)。質問は、新たな事実調査が必要なものはほとんどなく、感染対策はもとより感染症発生後の対応についての基本的考え方を問うものが多い。新型コロナウイルス感染症が広がっている今こそ、病院の労災に対する基本的な考え方が重要であることは言うまでもない。