旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判・準備書面(5)新証拠で被告主張は総崩れ!いよいよ後半戦に突入!

旧国鉄・JR大井工場アスベスト裁判を支援する会
事務局長 小池敏哉

 この裁判は、Kさん(21年1月逝去)が、石綿ばく露により肺がんを発症したとして、20年7月に旧国鉄とJR東日本を相手に損害賠償を求めて提訴したものです。

 9月21日に第10回口頭弁論が東京地裁で行われ、支援者ら18名が傍聴しました。前回に旧国鉄・JR側が提出した準備書面(5)に対し、今回は、原告が全面的に反論する準備書面(5)と証拠(甲28~34号証)を提出しました。

 その準備書面の中で、被告に対し「車両の石綿使用実態、形式別の使用状況の時期を含めて明らかにすること」と求釈明した事について、裁判長から「被告側から書面が出された際に反論するか」と質問があり、福田弁護士は「特に反論する予定はない」と発言。さらに、被告代理人から、「車両のアンダーシールへの主張が無いように言われているので調べてみたい」「甲34号(*)のマスキング個所の不開示理由は何か承知しているか」「開示請求をしているか」など原告に質問があり、福田弁護士は「行政判断でマスキングされたのであり、黒塗り箇所の内容やその理由について照会はしていない」と答えました。

 被告代理人は「調査に2ヶ月ほど時間を要するのでそれを踏まえて次回日程を入れてほしい」と発言。次回期日は11月30日(水)10時30分からとなりました。

 裁判後の報告集会で、福田弁護士から、「準備書面(5)は①国鉄・JRの車両のアスベスト使用実態を主張・補充し、原告にもその実態を示せと求めた、②現場の石綿ばく露の実態を具体的に示し、作業者のマスク未着用の当時の写真なども提出できた、③原告が死亡したことによる遺族補償申請で業務上死亡と認定された事実を改めて提出した」「国鉄時代の古い専門誌に掲載された車両の石綿使用を示す国鉄幹部の記事や論文、国労の機関誌に掲載されていた現場写真や記事など貴重な資料を集め提出できた。お礼を述べたい」と報告がありました。

 山岡弁護士からは、「会社側が提出した陳述書は事実や実態と違い、断定もできず歯切れが悪い不誠実なものだ」「会社側がケチをつけた黒塗り部分は行政の判断でされたものであり、必要なら被告が求めるべき」「国に対し開示請求を求めたJRに対して行った石綿調査の結果報告が11月30日までに示される予定なので活用していく」と報告がありました。

 参加者からは、「国労工作協議会としても廃車解体での石綿使用事例を調査している」(国労東京総合車両センター白井分会長)、「東京OB会も総会で裁判を全面支援すると確認した、引き続き支援を強める」(国鉄・JR東京OB親睦会藤野会長)「裁判闘争を聞いて駆けつけた。今後も支援していく」(元JMIU品川、ノーモア水俣土田事務局長)「国鉄闘争支援で地域で一緒に闘ってきた。今は公害・大気汚染裁判で運動している。アスベスト被害は深刻、支援していく」(日本航空OB、東京大気汚染裁判大島事務局長)など激励・連帯の挨拶がありました。

 最後に、原告のK努さんから支援者へお礼が述べられました。
 次回の会社側提出書面の内容は不明ですが、すでに主張すべき新たな事実もなく、自ら立てた陳述者の内容もこれまでの被告主張を上書きするものでしかなく、矛盾と言い訳に終始するものでした。今回新たな証拠の提出と厳しく反論されたことから相当苦しい状況と見るべきでしょう。

 裁判提訴から2年3ヶ月経過しますが、双方の主張も出尽くして、証人尋問も始まる後半戦突入です。引き続き傍聴体制強化にむけ皆様の協力を呼びかけます。