中皮腫とともに生きる 分かち合いと交流の集い: アスベストユニオン第18回定期大会in熊本
1月28日、熊本市で「中皮腫とともに生きる 分かち合いと交流の集い」が開催された。「中皮腫サポートキャラバン隊」、「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会九州支部」の主催で、アスベストユニオンが後援。
アスベストが原因で病気になった患者さんやご家族、ご遺族が自らの体験と思いを語られた。生活の変化、困難を乗り越えてきた当事者の経験は、アスベスト被害の相談活動に従事する者にとって活動の原点でもある。印象に残った発言をいくつかとりあげる。
中皮腫患者である平田さんは、緩和ケアの重要性を力説された。緩和ケアと言うと、亡くなることを前提とした末期の事という誤解があるが、診断直後から症状を和らげ少しでも楽に生活することはとても大切だと言う。
尾上さんは、内装工事の施工管理のお仕事をされていた。その当時もメーカーに、アスベストだから危険ではないかと尋ねたところ、「白石綿だから悪いものではない」との答えだったと言う。
渡辺さんは、治療しながら今も働いている。
山崎さんは、石綿肺がんと振動病で労災認定されて、会社を相手取る損害賠償裁判も闘っている。アスベストユニオンに加入して、不誠実団交ということで、労働委員会で係争中でもある。多くの労働者がそうであるが、当時の仕事のこと、作業内容をとても詳しく語る。
センターで活動していると、つい病気そのものや補償のことばかりに目を奪われがちであるが、患者さんやご家族にとって、それらは生活の一部でしかない。危険なアスベストにばく露しながらも、誇りをもって仕事に従事していたことも事実である。それぞれの患者さんやご家族と、常に認識を共有しなければならないことを改めて強く感じた。
翌29日、アスベストユニオンの第18回定期大会が開催された。前日のキャラバン隊の皆さんも傍聴。全ての議案が採決され、国や企業との闘いを進めることを確認した。全国各地から組合員が顔をあわせるのは3年ぶりのこと。旧知の間柄であってもオンラインでは限界があることを実感させられた。【川本】