地方公務員災害補償基金は、いい加減にしろ!

 男子バスケットボール部の実践指導中に、「左膝前十字靭帯断裂」と「左膝内側半月板損傷」のけがをした県立高校の女性教員が、地方公務員災害補償基金神奈川県支部(以下「基金」という)の公務外決定の取り消しを求めていた訴訟で、三月二三日、東京高裁は一審横浜地裁と同様に公務災害と認める判決を言い渡した。

 熱心な教員がけがをしても公務災害と認めないという理不尽な決定を、再び司法が改めさせた。基本的には、昨年一〇月の横浜地裁の判決通りの判断であるが、さらに以下の通り、明快に補足している。 

 「バスケットボールのディフェンスの動きは、急激な体重移動や方向転換を伴うものであるから、前十字靭帯損傷が発生する動きの典型的なものである。本件災害単体でも、前十字靭帯断裂が発生しても、それ自体は不自然とはいえない。本件疾病が本件災害だけのものによるとはいい切れないが、そうであっても前件災害が影響したものであり、いずれにせよ本件疾病は公務上のもの(本件災害によるもの)と考える。」

(編集者注・・・「前回災害」というのは、他の教員から陸上競技のハードルの技術指導を受けていた時に膝を痛めたことを指す)

 「控訴人は当審において本件災害に至る事実経過がどのようなものであれ、本件災害の態様は、それにより膝にかかる外力が靭帯断裂や半月板損傷を来すほどの大きなものではない旨主張する。しかしながら、被控訴人は、男子高校生のバスケットボール部員による実戦形式の練習に加わっていたのであり、競技の性格上、生徒側の俊敏で予測し難い動きに即座に反応しながら同様の俊敏さをもって様々な方向へ体を動かすことが求められていたのであるから、そのような動きをする際の急激な体重移動等により膝にかかる外力は相当程度強いものであったと推認され、日常動作で生じ得る程度の外力の域にとどまるものではなかったというべきである。控訴人は上記態様に関する被控訴人の供述の信用性にも疑問を呈するが、既に述べたとところに照らすと、まさに控訴人も主張するとおり細部における事実経過がいかなるものであれ、膝にかかる外力の程度についての以上の認定が左右されるとはいえない。」

基金は上告をせず、判決が確定した。【川本】