パワーハラスメント防止等に関する指針

神奈川県高等学校教職員組合 書記長 馬鳥 敦

学校現場の実態を踏まえた指針を組合が要請し、実現
2011年度にうつ病などの精神疾患で休職した公立学校の教員は5274人と、相変わらず高水準にあるという文部科学省の調査結果が、昨年12月24日にマスコミ報道されました。神奈川県でも病気休職者のうち精神疾患による休職者の比率が、2000年度の45・26%から2011年度66・07%に上昇しました。背景には、この10年間の教職員をとりまく社会状況の変化があることは明らかですが、学校現場における多忙化・管理体制の強化など職場状況の変化があります。
神奈川県高等学校教職員組合(神高教)は、校長による一方的・強権的な学校運営や管理職によるパワー・ハラスメント問題について組織的に取り組み、パワハラを未然に防止するための指針の策定を強く求めてきました。この結果、2011年度の県労連賃金確定闘争(県職員の賃金等労働条件を決定する交渉)の最終回答で策定が確認され、県教委と学校現場の実態をふまえた指針の策定作業を行い、昨年9月3日付で県教委は「パワー・ハラスメントの防止に関する指針」を通知しました。

神高教執行部は、職場におけるパワー・ハラスメント相談事例を多くもっています。若手の教職員が、管理職等から生徒の前で繰り返し叱責、注意されたことから追い詰められ、精神疾患を発症するケースが複数ありました。このような実態をふまえ、指針には「児童・生徒の目前における叱責等は慎重な配慮が必要である」という文言を入れました。
さらに2012年度の県労連賃金確定闘争では、メンタルヘルス対策の一環としてパワー・ハラスメントの事例集を策定することを確認しました。
この指針の活用を図り、引き続きパワー・ハラスメントを許さない民主的な職場づくり、健康で安全な職場づくりを進めていく必要があります。