全国労働安全衛生センター連絡会議:第36回総会を東京で開催
9月20~21日、全国安全センター総会が東京の全水道会館で開催された。初日は記念講演と夕食交流会、翌日は課題や地域からの報告と議論が行われた。神奈川からは事務局メンバー4人と、建設ユニオンから3名が参加した。
記念講演の一つは、全労働省労働組合の顧問である森崎巌さん。「労働基準法『改革』の動向と課題―働く者の安全・健康を守るために何が必要か」というテーマで、現在進行中の労働政策審議会労働条件分科会の議論を注視しつつ、その前提となったいくつかの研究会報告、日本経団連の主張などをふまえて、どのような取り組みが必要であるかについて、お話を伺った。私たちは研究会報告の危険性を職場内外で学習・宣伝すると共に労働政策審議会労働条件分科会の議論を注視し、安全・健康を守る立場から、真の「働き方改革」、労働基準法改正を積極的に提起することが求められている。
もう一つの記念講演は、一般社団法人日本芸能従事者協会代表理事・俳優の森崎めぐみさん。「芸能界で働く人の労働安全衛生と社会保障」というテーマで、芸能界独特の実態や慣習、法的保護と社会保障の欠如を自らの経験も交えて解説。労災、ハラスメントが当たり前だった現場を変えてきた経過を伺った。各地のセンターが労災や労働相談で連携してゆくことを確認した。
総会2日目は、「震災とアスベスト」をテーマに、ひょうご労働安全衛生センターが報告。これまでのアスベスト労災認定の取組みを中心に30年間の活動を振り返った。
被害が起きてからでは遅いのであり、地震が起きる前のアスベスト対策など、有識者の提言を1冊にまとめた「アスベストリスク 阪神・淡路大震災から30年」を9月1日(防災の日)付で発行。ホームページから全文ダウンロード可。
東日本大震災後のアスベスト対策、能登半島地震の対応についても東京労働安全衛生センターから報告があった。
その他、じん肺診査ハンドブックの改訂、新型コロナワクチン接種による健康被害、おかやま労働安全衛生センターから活動報告がなされた。オンラインで会議などを頻繁に行っているとはいえ、年1回、各地の安全センター関係者が顔を合わせ、活動や認識の共有を行うことは非常に重要であると実感した。【川本】
森崎巌さんの話(概要)
まず、日本経団連は24年1月に「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表し、厚生労働省労働基準局長に手交した。それは労働者の健康確保は最優先だとしながらも、労働時間規制のデロゲーション(適用除外)の範囲を労使の合意で可能にすべきというもの。過半数労働組合がない企業には「労使協創協議制」の創設を提言している。そして25年1月に「労働基準関係法制研究会」が報告書を発表。そこでも、個別企業や労働者の実情に合わせて、労使合意等の一定の手続きの下「法定基準を調整・代替」する動きをさらに進めるべきだとしている。
労働組合の組織率が低下する中で、時間外労使協定をはじめとする「過半数代表者」が機能不全に陥っていることは事実であり、抜本的な改善は急務である。しかしながら、その目的が「法定基準の調整・代替」にあるならば極めて有害である。現実に労働政策審議会労働条件分科会で、使用者側委員は、裁量労働制の見直しを主張し、自民党も参議院選挙で「働きたい改革」を推進するという公約を掲げた。参政党も「もっと仕事がしたいのにできない」の見直しを主張している。
労働時間規制や過半数代表者制度などは26年度通常国会に法案が上程される可能性がある。労働組合は、実効性のある労働時間規制を推進するために、もっと具体的な対案を積極的に提起する必要がある。
森崎めぐみさんの話(概要)
俳優などの芸能実演家と監督や撮影、録音、大道具制作に従事する芸能作業従事者をあわせて、芸能従事者と呼ぶ。完成した番組や舞台などから華やかなイメージをもたれがちだが、危険な作業も多い。徹夜仕事も当たり前のように行われ、過労によるけがや病気も多い。契約書もないことが多く、報酬が口約束であることも。おまけに建設業のような下請け重層構造でもある。公正取引委員会が調べたところ、独占禁止法違反が多々見受けられるなど課題は多い。児童労働もあるので、子どもを守る視点も重要だ。
