頸肩腕障害のKさん労災認定勝ち取る!

労働時間が短くても、会社が因果関係を認めなくても、あきらめず労災申請

コンピューター入力作業等に従事するKさんは、今年4月から担当する仕事が増えたが、人が減り、責任も業務量も大幅に増加した。以前から少し痛かった腕の痛みが強くなり、整形外科に通いながら働き続けていたが、偶然、十条通り医院を知り、針きゅう治療を始めた。
医師の診断は「頸肩腕障害」。仕事が原因であることは明らかだったが、労災請求して業務上認定されるかは微妙な問題があった。実は、Kさんは6ヶ月契約のパート労働者で一日5・5時間で週4日勤務。仕事が増えたといっても一日6時間で週5日就労なので、単純に正社員に比べると、決して労働時間が長いわけではない。また、半年ごとの契約のため、労災請求を嫌がるかもしれない会社に雇い止めされる恐れもあったため、会社との関係を悪化させないよう慎重に動く必要があった。
五月になってKさんは、労災請求するため会社に丁寧に事業主証明を依頼した。いろいろな書類のやりとりも含め、かなり時間がかかったあげく、会社から、「請求対象となっている傷病の原因等が、請求人の担当業務との間に相当因果関係があると判断できないため、請求書への事業主証明の捺印が行えない」という文書が戻ってきた。7月に、事業主証明のないまま労災請求を行った。
一方で仕事はさらに忙しくなり、このまま働き続けることは難しいと考えたKさんは、会社に、職員の増員や業務の軽減を要請した。それが実現しないと、休業を余儀なくされ、場合よっては雇い止め解雇の恐れもある。監督署に、早期の労災認定を要請したところ、10月初旬に労災認定された。

本当は、会社や本人の状況をもっと詳しく報告したいのだが、上記のような事情を理解してもらいたい。
正社員よりも労働時間が短いパート労働者でも、会社が因果関係を認めなくても、Kさん自身がきちんと治療と仕事をする中で労災認定を勝ち取った画期的な取り組みといえよう。【川本】