被ばく労働を考えるネットワーク報告集会

昨年11月28日、労災職業病センターも参加する「被ばく労働を考えるネットワーク」が、結成2周年の報告集会を開催した。これまでの活動をふりかえり、今後の活動の方向性を議論してゆこうという集まりで、約90名が参加した。【川本】

危険手当のピンハネ
東京電力福島第一原発事故が起きなければ絶対になかった被ばく労働が、いわゆる除染作業である。それは主に「避難地域」で行われるにもかかわらず、原発内に勝るとも劣らぬずさんな労務管理がまかり通っていた。
危険手当の不払い・ピンハネ、偽装請負・違法派遣、劣悪な宿舎・食事環境、労災もみ消し、放射線管理手帳を発行しないなどさまざまな問題が、ネットワークが取り組んだ争議で明らかになった。最近も、健康診断を受けさせず、診断書を偽造するというとんでもない業者の実態を追及し、国や元請の鹿島が調査に乗り出している。
危険手当不払い問題については、最低賃金+危険手当から宿舎費等を控除するという形で1万2千円前後の賃金が一般化した。それは一定の成果ではあるが、下請け重層構造を前提としたものであり、抜本的な解決とは言い難い。例えば、原発内労働については、危険手当相当分とされる東電の増額が末端の労働者の賃金アップにつながっていない。

被ばく労働の違法残業
ビラまきやインターネットなどを通じて、労働者から一定数相談が寄せられたが、会社との交渉には至らないケースも多い。解雇されて、退職してからの相談がほとんどである。それでも確実に現場の状況を改善する契機となっている。
汚染水のタンクの溶接作業現場で働いていた労働者は、1日14時間の長時間労働を強制された。労働基準法第36条では、「坑内労働その他命令で定める健康上有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならない」とある。有害な業務の1つが「有害放射線に曝される業務」である。この問題も、当該労働者が労働基準監督署に申告した結果、監督署が是正勧告をした。

国と東電への要求・行動を緩めない
事故から3年半が経過し、国や電力会社は再稼働の動きを強めている。再稼働=余計な被ばく労働を生み出すことは間違いない。これからもネットワークに参加するあらゆる団体、個人と連携して、東京電力、国への要求、そしてなによりも現場で働く労働者と連帯する取り組みを強化してゆこう。