除染事業と除染労働の実態を問う
「除染事業と除染労働の実態を問う7.6集会」が、東京の文京区民センターで開催された。130人を超える参加であった。除染作業に従事した労働者などが発言。安全衛生に関する部分のみを紹介したい。【川本】
昨年夏に除染作業に従事した労働者の発言から
元請けから支給されるのはサージカルマスクとタクシー運転手がするような綿手袋だけ。タイベックは着ず、作業着等も安全靴も自分持ち。綿の手袋をしてその上に軍手をして作業した。
夏はマスクをしての作業は暑いので苦痛。休憩は「密閉された場所で」とされているが、現場は山の中で密閉された場所なんかないので、車の中で休憩しろと言われた。しかし8月の車内では熱中症になってしまうので、みなマスクを外して木陰で休憩していた。木陰の放射線量は非常に高いことが多い。そういう所で水を飲んで煙草を吸って休憩した。
そういう現場をゼネコンも見ている。また環境省の人たちもマスクをしないで見にきたりしていた。作業員は、線量は大したことがないというのを叩き込まれているから、マスコミが騒いでいるだけだと思って、結局みんなマスクを外して作業してしまう。
これから10年、20年後に、除染をやった人の中に健康被害がたくさん出るのではないかと心配だ。
主な仕事は森林の草刈り。マスク・手袋・長靴、一切支給されなかった。1ヶ月以上過ぎてから環境省のお達しで「マスクしろ」と毎朝一枚、アヒルの口みたいなのを支給されるようになった。当時は被曝は大したことないと信じていたが、今はちょっと大変かなと思っている。
バンガローの8畳に4人で寝泊まりしたが、便所は外で50m以上離れていた。飯は最悪。最初の頃の夕食はご飯となす、ピーマン、もやし一つまみずつと味噌汁だけ。昼は何も入ってないおにぎり2個だけで250円取られた。さんざん文句言った。ゼネコンの人は立派な宿舎で仕出し弁当を食べていたみたいだ。昼はカネ出してもいいからと言ったら、途中から400円の弁当になった。そのうち、人を雇って夕飯を作ってもらうようになり、少し良くなった。
相談を受けている労働組合から
ある現場では、フレコンパックに積んだのを4分の1に粉砕して集約する。粉砕作業だから多量の汚染粉塵が飛んでいるが、マスクは支給されなかった。あまりにもひどい。環境省の地元事務所に電話して、環境省から言ってもらった。その結果、マスクは届いたが、誰が通報したのかという犯人探しが始まった。同僚に迷惑をかけないようにとすぐに名乗り出たら、解雇通告された。
今ようやくマスクが支給され始めた。声をあげた彼のような闘いが職場を変えていくのだなと思う。離職した人のこともあるが、職場で残る人たちの労働条件を改善していくことを目指したい。
関西労働者安全センター西野さんから
法的には以下の3点が大きな問題だ。①被ばく防止・管理の義務主体がはっきりしないこと、②個人ベースの累積被ばくはどこが管理するのか、③労働者ではない作業者の被ばくはどうするのか。