労働相談ネットワーク労働相談事例研究会 メンタルヘルスについて

5月21日、神奈川労働相談ネットワークが主催する事例検討会が開催された。テーマはメンタルヘルス。当センターから基調報告と問題提起をしてもらいたいとのことで、一時間ばかりお話しさせていただいた。参加した労働組合や県労働センターからの報告もあり、議論を深めた。当センターの報告はニュースでも取り上げてきたことと重なるので、ここでは他労組からの報告を紹介する。【川本】

●ユニオンヨコスカの失敗と成功の事例報告
ユニオンヨコスカからは、具体的な事例の報告があった。
失敗例として、降格を含むパワハラが原因でうつ病で休職した労働者について、主治医の判断と本人の希望で職場に戻る交渉を行い、休職期間満了前に3ヶ月間のリハビリ勤務を認めさせた。ところが体調不良で休みがちになってしまい、結局、休職期間満了時に解雇されたというもの。リハビリ勤務をもっと延長するよう要求する詰めが甘かったことを反省し、団交や労働審判申し立てを準備中。
別の労働者は、やはり主治医は職場復帰可能ということで、本人も戻ろうとしているが、産業医から時期尚早と判断された。本人の意向を尊重することが基本であるが、もう少し慎重に進めるべきであった。
成功事例としては、過重労働によるうつ病を発症したが、労災認定を勝ち取り、過去2年分の月100時間を超える不払い残業代も全額支払わせたケース。今後、症状固定時に慰謝料請求を行う予定である。実は本人が当初、労働基準監督署に相談に行ったところ、未払い残業代は民事なのでとユニオンを紹介された。行政対応としては問題。

●神奈川労連労働相談センターのパワハラ相談から
大手自動車メーカーの構内下請けの陸送会社で、契約社員の女性がパワハラとセクハラが原因で不安神経症を発症、休業を余儀なくされ、雇い止め解雇された。トイレまで500mもあるひどい職場環境であった。大手メーカーの方に申し入れを行ったところ、パワハラについて謝罪、施設整備改善の約束、解決金を支払うことなどで解決した。
新しい上司のパワハラで、勤続27年の女性社員が適応障害になった。団交を申し入れたところ、当初は業務指導の範囲などとしていたが、県や国の資料を示すなどして交渉を重ねた結果、調査、改善を行い、職場復帰を果たすことができた。
会社は、パワハラについて認識が不十分で、それが生産性を下げたり、職場の雰囲気を悪くすることの重大性を理解していない。