遺族補償が労災認定!変電所の保守点検作業に従事 中皮腫で死亡
㈱三上工業所(東芝や東電の関連会社)で変電所の保守・点検作業に従事して石綿に曝露し、胸膜中皮腫で死亡したKさんの遺族補償が、品川労働基準監督署で認定された(三月一六日付)。【西田】
Kさんは、蕎麦や焼肉店を長く経営していたが、三上工業所の現場作業員として一〇年間働いた。三上工業所は、元々、東芝の変電機器メーカーで、東電の登録指定業者となってからは、主に変電所の遮断器や断路器、変圧器等の保守・点検作業を請負ってきた。
昨年一二月、妻のF子さんから相談を受けたセンターは、Kさんの同僚の話として「火力発電所のメンテ作業に従事していた」ことを確認し、会社の事業主証明は得られなかったが、今年一月に品川労基署に労災請求を行った。総務を統括する日新明弘テック㈱によれば、石綿の使用については「保守・点検作業に使用する材料項目の中に石綿石膏ボードがあった」ぐらいしか証拠がなかったという。品川労基署は、これまでの多くの認定事例から、火力発電所では保温材等に石綿が使用されていることは既知であり、このことをもって労災認定を決めたようだ。
F子さんは、一〇年前に脳出血で倒れて車椅子生活となった夫の介護で腰を痛め、脊柱菅狭窄症を発症、不自由な生活を強いられている。そのため労災の相談は、ご自宅の団地(横浜市瀬谷区)に直接伺って行った。F子さんは、「夫の介護で落ち込むことはなかったが、まさか中皮腫という全然別の病気で死ぬなんて思わなかった」と、夫が中皮腫であっけなく逝ったことの驚きを隠さなかった。脳出血に加え、中皮腫に罹患したKさんの苦しみもさることながら、その夫を長きにわたって支えてきたF子さんの苦労も大変なものがあったと思う。申請から認定まで三ヶ月程度と比較的早く認定されたのは、品川労基署の担当者もF子さんの自宅で聞き取りをするなどして、F子さんの不自由な生活に配慮したことにもよると思う。
F子さんは、「センターや監督署の配慮がなかったら、請求もできないし、認定もされなかっただろう。夫に早く労災認定の報告ができてよかった」と話している。