労災相談Q&A:労災保険の請求時効

質問
5年前に、上司からのパワーハラスメントなどが原因でうつ病を発症し、半年ほど休業を余儀なくされました。通院しながら、別の職場に復帰したのですが、今年になってから、仕事上のトラブルで残業が続き、医師から休んだ方がよいと言われたので、先月から休んでいます。パワハラはかなりひどかったので、会社も上司を処分したぐらいなので、労災になるかもしれないと思い調べたところ、労災保険の時効は2年と書いてあったのですが、こういう場合は労災請求できないのでしょうか。

回答
労災保険の請求権は、実際に治療した日、休業して賃金がもらえなかった日、その日ごとに発生すると考えてください。つまり、その日から2年経った時点で時効を理由に消滅することになります。具体的に言うと、発症したのが5年前で、仮にずっと休んでいるとすれば、2~5年前の休業補償は時効で不支給ですが、労働基準監督署に今日労災請求したとすれば、2年前までの休業補償は支給されることになります。したがって、あなたの場合は、5年前の休業補償については、時効になっていますが、先月からの休業については、労災支給される可能性があります。
ただし、そもそも5年前に発症したうつ病と、今回休業の原因となったうつ病をどのように考えるかが問題になるでしょう。労働基準監督署が、継続したものと判断すればよいのですが、治療を継続しているとはいえ、通常業務を行える状態で、すでに症状固定していたと考えると、今回のうつ病については、最近発症したものとして、その直前半年間の仕事が調査対象になってしまいます。会社も認めたパワーハラスメントは考慮されないわけです。あなたと似たようなケースで、労働基準監督署はすでに寛解していたと判断し、以前のうつ病を労災として認めながら、最近の休業補償を不支給としました。主治医の先生にも、職場の状況を詳しく説明するなど、よく相談してから請求した方がよいと思います。