長野県松本市アスベスト被害ホットライン:安元宗弘さん(じん肺・アスベスト被災者救済基金事務局)

 11月23日(10~16時)長野県松本市の松本市勤労会館内のユニオンサポートセンターで「アスベスト被害 面談相談会・ホットライン」が行われました。主催は、長野県アスベスト対策センター。後援は、じん肺・アスベスト被災者救済基金(じん肺基金)。じん肺基金事務局から安元と池田が応援に駆けつけました。

 事前に記者会見を行ったため地域新聞の市民タイムス(18年11月15日)に「アスベスト23日に相談会」というタイトルで、信濃毎日新聞(11月16日)には「石綿の健康被害 松本で無料相談」というタイトルで記事が掲載されました。NHKでも3回とりあげられ(11月15日)、新聞やテレビを見た人から事前に電話があり、当日に面談を予約した方がいました。当日は、面談による相談とホットラインでの相談が計12件寄せられました。簡単に相談内容を紹介します。

【面談1】Mさん(松本市在住)

 I機械でディーゼルエンジンの試運転作業を約20年間行い、アスベストにばく露。試運転室(幅10m×奥行き12m×高さ6m)の壁が厚さ約5㎝のアスベストの柔らかい壁。ディーゼルエンジンを動かすと強烈な振動が生じ、壁のアスベストが部分的に抜け落ちて飛散、抜け落ちた部分を水で練ったアスベストで補修していたという。試運転するディーゼルエンジンはエンジンの排気口から地下の煙道に排気を導くためにフレキシブルチューブ(自在に動く鉄パイプ) をつなげ、継ぎ目のところにアスベストのテープを巻いて排気ガスの漏れを防止。しかし2~3日位で接合部分のアスベストが破裂状態になり、補修しながら試運転を行う。フレキシブルチューブにアスベストを巻く作業も行った。

 少し詳しく書いたのは電話相談ではここまで詳しい聞き取りはできなかったと思ったからです。実は、MさんはA4で10枚以上のメモを持参し、そこには図入りで作業について書かれていました。今の時点で労災申請するケースではないですが、今後、労災申請する場合、非常に役に立つ資料です。最近、アスベストにばく露した同僚と連絡をとろうとしたがとれなかったとのことでした。

 18年1月に市内の病院で肺がん疑いと言われた。9月に再検査でCTをとったが変化がないので19年1月頃に再度CTをとるとのこと。

 Mさんには、胸部レントゲン、CT検査で定期的に肺がんチェックをして石綿肺や胸膜プラークの影があるか確認して下さい。同僚と連絡が取れればお互いに情報交換してくださいと伝えました。石綿肺、胸膜プラークの確認は肺がんで申請する時に必要になるからですが、果たして松本市内の病院の医師がこの読影ができるかがポイントです。

【面談2】Nさん(安曇野市在住)
 左官業で一人親方の期間が長い。左官組合関連のZ協会の出張検診で年1回胸部レントゲンを撮っているとのこと。 石綿健康管理手帳制度について説明し、残念ながら、一人親方の期間が長いと手帳交付は難しいかもと話しました。一人親方にも手帳が交付されるように制度を改正する必要を感じました。

【面談3】Sさん(岡谷市在住)
 31年間、業務用の冷暖房管理の仕事をしていた。店舗の屋根裏に入って作業することが多く、アスベストにばく露。N病院で肺がんかもしれないと言われ、その後は進行していないと言われたとのこと。本人から話を聞いてみると肺機能障害があるようなので、びまん性胸膜肥厚または石綿肺があるか病院でみてもらい、もしあれば%肺活量の検査をし、60%未満なら労災の可能性があるとアドバイスしました。

【電話相談】Sさん(長野市在住)
 内装業40年。アスベストのボード張りや改装の場合はボードをはがす作業もあり、アスベストにばく露。18年10月に長野市内の病院で胸部レントゲンを撮り、アスベストが原因の肺がんかもしれないと言われ、11月に気管支鏡、MRI、PET|CT検査を受け、12月10日に結果を聞くとのこと。胸膜プラークの診断も受けていると言うことで、肺がんの確定診断が出たら労災請求するようアドバイスしました。
 
 私は横須賀で長年、じん肺基金が行うアスベストホットラインで相談活動をしてきましたが、松本での相談活動をやってみて感じたことは、相談会場に直接来ていただいて相談を受けた方がより効率的で、より深く聞くことができるので、面談相談会というやり方は良い方法だと思いました。

 横須賀の場合はアスベスト疾患の診断を的確にできる医療機関があり、そこと連携することで相談活動がスムーズにいきますが、長野県内にはそのような医療機関があまりないようで診断名もよくわからないので的確なアドバイスをするのが難しかったです。

 例えば、松本市のMさんの場合、胸膜プラーク等が本当にないのか、あっても読影ができず診断されていないのかわかりません。肺がんの労災申請する時はプラークがあるかないかがポイントになるので、場合によっては読影できる病院の診断も必要かもしれません。

 岡谷市のSさんの場合、肺機能障害があるようなので%肺活量が60%未満でびまん性胸膜肥厚があれば労災の可能性があります。しかし、びまん性胸膜肥厚の診断ができる医師がいるかどうか、かなり難しそうです。

 ということで、地元にアスベスト疾患の診断ができる医師がいるかどうかが一つのポイントです。呼吸器科の医師なら肺がんの診断はできるでしょうが、胸膜中皮腫や石綿肺、びまん性胸膜肥厚、胸膜プラークを的確に診断できる医師は全国的にみても少数でしょう。ホットライン等を行う場合、診断できる医師を探して連携できるようにすることが重要なことだと強く感じました。