労災相談Q&A:パワーハラスメントの定義

【質問】
営業の仕事をしているのですが、今度来た上司の営業部長は、自分の成績が気になるのか、部下の成績が思わしくないと、辞めさせようという傾向があります。とにかくネチネチと嫌がらせをしてきます。昨日も1時間ほど叱責を受けて、途中からは「とにかく辞表を書け」と言われ続けました。パワーハラスメントではないかと思うのですが、それを禁止する法律はないのでしょうか。

【回答】
何がパワーハラスメントなのかという定義が難しいと言うことで、パワーハラスメントを規制する法律は出来ていません。ただし、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」(座長:堀田力 さわやか福祉財団理事長)では、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」を平成24年に、公表しています。そこでは、「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」としています。「業務の適正な範囲」か否かの判断が難しいのです。
営業部長の役割は営業成績を上げることでしょう。上司と部下が協力して営業成績を上げるのが業務であり、部下に辞めてもらうのは、営業部長の業務ではないはずです。営業成績と雇用は全く性格の異なることですから、明らかなパワーハラスメントでしょう。総務や人事に相談してみてはいかがでしょうか。