センターを支える人々:馬鳥敦(神奈川県高等学校教職員組合執行委員長)

神奈川県高等学校教職員組合(神高教)は、県立高校・中等学校144校の教職員を組織する労働組合です。常勤教職員4000人と臨任・非常勤教職員500人で構成する組織です。

少なからぬ教職員が過労死ラインを超える日常的な超過勤務に置かれていることから、教職員の「働き方改革」がマスコミにも登場する課題となり、2019年1月には文部科学省の諮問機関である中央教育審議会が答申を出しました。部活動指導を含むほとんどの教職員の時間外の仕事を教職員の「自発的業務」と規定する「給特法」は存続するものの、民間労働者の労働時間の上限規制に準じた「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」が策定されるようになります(罰則規定はありません)。ガイドラインの実効化にむけて取り組むとともに、「給特法」の対象となっていない事務、司書、現業職員には、神高教として1980年代から取り組んできた「36協定」締結の取り組みを強化します。

教職員の「働き方改革」を進めるにあたっては、労働安全衛生の取り組みは更に重要性を増しています。神奈川県立学校では、2015年度の試行をふまえ2016年度からストレスチェック制度を全職場で本格実施しています。神高教役員も構成員である県教委安全衛生委員会では、ストレスチェック制度の設計、結果分析と対応策、全職場に置かれた衛生委員会における集団分析結果の活用方法を含め、ストレスチェック制度を教職員の労働安全衛生につなげる取り組みを行っています。

学校現場のパワハラへの取り組みも神高教の重要な役割となっています。2013年度に神高教との協議によって、県教委は「パワーハラスメント防止等指針」を策定しましたが、学校でのパワハラ防止の責任者は所属長である校長等がパワハラの加害者となるケースも少なくありません。こうした場合は、県教委との協議を実施します。その結果、懲戒処分を含む指導が行われることがあります。

教職員の公務災害の認定も、民間労働者の労働災害と比較して、申請から認定までの期間も長くハードルが高い状況となっています。いささかの既往症の疑いがあれば、公務外とされます。部活動指導の最中の事故であっても、腰や膝などが関連する場合はまず公務災害に認定されず自己責任となります。そのような個別事案については、労災職業病センターにすっかりお世話になっています。公務災害の認定制度自体の見直しの取り組みもスタートしました。

その他、県立学校におけるアスベスト含有財の撤去など、労災職業病センターとの連携が必要な課題は山積しています。労災職業病センターのさらなるご活動を祈念いたします。ともに頑張りましょう。