原発関連労働者ユニオン活動報告

原発関連労働者ユニオンでは現在、次の2件の具体的課題に取り組んでいる。それぞれご注目ご支援をよろしくお願いします。【川本】

■Wさんの不可解な労働契約と労災隠し

福島県いわき市に住んでいたWさんは、2017年2月に東京電力や東北電力と関係が深い勿来火力発電所で働くようになった。賃金は金成組から1日7000円、紹介しただけのアクアから6000円という不可解なもの。Wさんは、同年3月に左手拇指を骨折する大けがをしたが、労災扱いとならず、休まないで健康保険で治療することを余儀なくされた。

法律上は休業労災でなければ監督署に届ける必要もないとはいえ、事実上の労災隠しだ。同年5月には、大王製紙の現場で嘔吐し意識を失う熱中症になった。このままでは死んでも労災にならないと考えたWさんは、労働基準監督署に相談してようやく労災などの手続きが進められた。こうした度重なる労災事故と会社の不適切な対応などのストレスから、うつ病で休業を余儀なくされた。

Wさんは治療を続けてきたが、やはり当初からきちんと休業して治療ができなかったこともあるのか、骨折もうつ病もなかなかよくならなかった。CRPS(疼痛障害)も発症した。2018年11月末には休職期間満了ということで金成組を解雇された。現在は神奈川県内で生活保護を受給して、うつ病の治療をしながら社会復帰をめざしている。

弁護士の紹介等から2019年6月、ユニオンに加入し団交を開催。会社側は、当時の状況について事実確認を行いつつ、とにかく金銭解決すればよいという姿勢だったが、まずは左手拇指骨折・CRPSについて労災の障害補償請求を、うつ病については休業補償請求を行った。労災支給額や損害賠償でも問題となる平均賃金については、金成組が1日1万3千円支払うべきであったという意見書を添付して、監督署の判断を待っている。

■あらかぶさんの「危険手当」と「被ばく労災」

2019年7月1日、福島第一原発で働いて白血病になったあらかぶ(仮名)さんが、原発関連労働者ユニオンに加入。ユニオンは、東京電力に対して「危険手当」と「職業病」についての団体交渉を要求した。

あらかぶさんが、東電福島第一原発を辞めた理由は、実は危険手当のピンハネ疑惑が契機である。 請負会社は、あらかぶさんを含む一部の労働者に毎月払うはずだった危険手当をまとめて払ったが、そんなことでは現場で一緒に仕事ができない、信頼関係がなくなってしまうというのがあらかぶさんの考え方だ。そもそも東電は元請業者にいくら支払っているのか、中間搾取があるのではないのか。東電社員に対する危険手当の金額も明らかにするように要求した。

また、あらかぶさんの白血病については、労働基準監督署が労災認定したにもかかわらず、東電は裁判で、その因果関係を認めていない。国の労災認定は医学的ではないというのだ。一方で東電は、労災認定された東電社員には上積み補償を支払っているようだ。このような下請け差別は許せない。

これらの要求に対する東電の回答は、「使用者としての立場になく、遺憾ながら貴意に添いかねますのであしからずご了承くださるようお願い申し上げます」というもの。具体的な回答を避けた、ゼロ回答以下のいわば「門前払い」。このような態度は、断じて許すことはできない。

2019年12月、東電本店に対する抗議要請行動を行ったが、東電は要請書の受け取りすら拒否した。他の市民団体の申入書は受け取ることからも、いかに東電が闘う労働組合を警戒しているのかがうかがえる。不当労働行為救済申し立てなどの法的措置も含めて検討中である。